株式持合い

銀行等保有株式制限法2002年施行)に基づき、

普通株や剰余金など中核的自己資本の範囲まで企業との株式持合いを削減した。

しかし、05年以降、企業が買収を防ぐため株式持合いが復活。


公的資金

米政府は、昨年10月金融安定化法で用意した=7000億㌦の資金のうち、

3000億㌦超を金融機関に投入。

米大手金融機関10社が今回総額=680億㌦(6兆6000億円)の公的資金を返済する見通しになった。

今回の返済でその4分の1近くを回収。


■日本経済の流れ

1945年食糧経済の理論と計測」大川一司著)に出会う。

1950,4月、一橋大学経済研究所助教授に、所長は都留重人先生。

都留先生は近代経済学的分析とマルクス経済学的分析の両方を研究所で推進、

実証面で双方が切磋琢磨しあうことを期待していたようだ。

昭和初期、製造業で働く労働者分配率が国際的に見て低かったという事実は、

マル経の学者が好んで指摘したところだが、

私も都留所長の気持ちを察して、労働分配率賃金の二重構造の実証分析を手掛けた。


食料→マルクス経済→GDP概念へ→固定資本形成


1957年ころから、「長期経済統計」

(私はそのうち、「個人消費支出」と「鉱工業」を分担した)を完成させるがリーダーは大川一司教授だった。

GDPをまとめ上げるには、その構成要素である

消費支出、政府支出、資本形成、さらに産業別の所得がまず推計されなければならない。

成長・発展のためには投資、生産性と雇用という概念が。

公的固定資本形成と公共投資、公共事業とはほとんど同義語として使われることが多いが、

公的固定資本形成には土地代が含まれない点が大きな違いである。

⇒日本の高等教育機関は、賃金に反映される人的資本形成効果を持たない 。

大学の「生産・販売」する商品のうち、最も重要なものは「ヒト資本」である。

大学がヒト資本形成に期待される役割は、近年特に重要性が高まっている。


ヒトであれ、企業の設備であれ、公共のインフラであれ、

「資本形成」はより多くのレバレッジ効果を持つものと思われる。


アジア経済研究所は昭和33(1958)年設立(初代所長・東畑精一郎)、

地域は東南アジアだけでなくインド、中近東、アフリカ、南米にまで及ぶ。

研究テーマは歴史、政治、経済などきわめて広範である。

昭和55年から8年間、アジア経済研究所の所長を引き受けた。

(篠原三代平09,6/12「私の履歴書」)


1961年頃の日本経済を朝日新聞論説主幹(当時)の笠信太郎氏は「花見酒の経済」に類比させた。

土地を担保にする信用がむやみに膨張し、

社会資本の整備はおざなりにされたまま家計は消費に励む。

さいわい、60年代の日本は「花見酒」の酔いからすぐ醒めて、

その後は資本蓄積に励み、熊さん辰つぁんの二の舞にならずに済んだ。

⇒サブプライムでは「担保」が→“格付け”に。


ところで落語の『花見酒』はすでに江戸の経済のある側面を活写している。

落語「花見酒」。灘の生一本3升を借り込んだ熊さんと辰つぁんは、

1杯=10銭で花見客に酒を売って一儲けと酒樽を担いで向島へ。

漂いだす酒のにおいにさあ我慢できない。

「誰に売っても同じだよね」といいつつ、熊さんは辰つぁんに10銭を渡して一杯飲む。

耐え切れず辰つぁんもその10銭を熊さんに渡して・・・

向島に着いたときは二人とももうべろべろ。

さて売り上げは熊の財布を逆さまにしたら、10銭玉がひとつ転げ出ただけ。


アメリカ「花見酒」経済

アメリカの効率主義の背景には株主資本主義がある。

際限のないROE(自己資本利益率)の向上を求め、

より金儲けのうまい企業(経営資源)にどんどん乗り換える

新陳代謝こそ経済効率を最大化するという思想モデルだ。

インセンティブ(利回り、報酬)によって世界中から経営資源や資本を集め、

ターンテーブルして回収・分配する金融資本主義の誕生だ。

企業はより手っ取り早いM&Aやレバレッジに走り、市場は利益最大化を競わせる。

企業は本来のgoing concern

(解散を前提としない自主性を有し永続的に存在する継続企業)

社会的存在であるべき姿から道を踏みはずすことにもなる。


米国の「花見酒の経済」。家計は身の丈を超えた、

金融も根拠のない「悪酔い」さながらの消費や取引を繰り返し

、国際金融危機と世界同時不況を起こした。

米国政府は、金融機関に巨額の救済資金を投じ、

経営破たんに陥った自動車メーカーを国有化せざるを得なくなった。

空っぽになった酒樽(会社の債務)を、政府の資金(税金と国債)で埋め合わせるしかなかった。


アメリカは自助努力を尊び国家の介入をうという文化的背景がある。

政府でも困難な将来にわたる保障を私企業に肩代わりさせた。

GMのモデルとは事業部制、販売金融と並び、企業年金や退職者向け医療給付がある。

往時には=80万人を超す従業員を抱えた地上最大規模の企業が年輪を重ねれば、

レガシーコストに押し粒されることは想像に難くない。


清算なら無担保債券者弁済額はゼロになる。GMの事業譲渡には裁判所の許可が必要。


オバマCEOは、新GMの株の過半数を「不本意ながら」取得し、

しかし「政府は経営しない」「うまく経営されれば再建も可能」とどちらとも取れる態度を。

クライスラーはフィアットが事業スポンサーになった。

新GMでは米国とカナダ政府が財務スポンサーになったのみ。

地域経済の浮沈がかかるのみか、米国の産業の象徴の浮沈がかかる。

GM問題が泥沼化すると、「オバマのベトナム戦争」と呼ばれるかもしれない。


GE

エジソン創業、電球やジェットエンジンを生み出した会社だが

リーマン・ショックではGEキャピタルなど金融(一時GEの利益の半分を稼いでいた)で躓く。

01,9月、9代目CEOェフリー・イメルト45歳

ジャック・ウェルチCEO(「1位2位以外の事業はいらない」)のあとを継ぐ。

08,3月半ばのベアー・スターンズ危機の余波で予定していた不動産売却ができず

(米国の住宅ローン市場からは撤退したが)

「計ったように精密」といわれたり利益計画に狂いが生じた。

9/15日リーマンショック、信用収縮が始まる。

CP市場が蒸発、CPの最大の発行体の一つである金融事業GEは、

発行残高=1000億㌦規模に達していた。

CPの血流が止まれば、資金移動の血流も止まる。

イメルトは即座に著明投資家ウォーレン・バフェット氏に電話を入れた。

30億㌦の優先株の引き受け。

バフェットの出資が呼び水になり、GEは=120億㌦の普通株増資にも成功。

わずか1日で公募した全株に買い手がついた。

「セーフティー・ファースト」、成長路線は休止し、

「キープ・ザ・カンパニー・セーフ」(会社を安全に)を旗印に手元流動性を高める。

09,2/27日には、70年ぶりのを決めた。


08,10月のFRBによるCP買い取り制度が導入され、凍りついたCP市場も少しずつ動き出した。

当局の政策も支えになった。


景気のサイクルではなく、

資本主義そのものの不可逆的時代の断絶とも言える「リセット」が起きている。

①政府の役割が増大する。

金融政策や財政政策だけでなく、産業政策の推進者として、資金の提供者としての役割が拡大、

企業側も政府との協業がテーマになる。

②金融ビジネスは変質する。レバレッジは低下、規制は強化される。

③脱産業は幻影で、サービス業ばかりではなく、

国の発展にはイノベーションが必要。製造業への原点に戻り

新たなテクノロジーの発見し、生産性の高い製造業の基盤を築く必要がある。

自動車産業の役割は衰退していくだろう。


イメルト氏は

02年ごろには米国は住宅・金融バブルだから金融事業は見直す必要があると言っていた。

03年、保険事業の売却を世界的に進めた。

独特のリスク評価手法規律がされている。

GEは成長のために絶えず外に目を向け、選択と集中を繰り返している。

(西室泰三・東芝相談役09,6/7日経)

東欧新興国

東欧など外貨建てで多くをり入れていたので自国通貨の下落で返済ができなくなり、

欧州金融機関は不良資産を相当抱えこんでしまった。 


貿易依存度が国、対外務国は通貨も含め世界景気の動向に対する感応も高い。 

※借金はするな。

※外需ばかりでなく、内需などの安心なポートフォリオを。