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《外為コサックダンスレポート》I will dance cossack

         when winning a great VICTORY.


2009年4月20日


(某ディーラーの独り言)

今週はイベントが多い→カナダ中銀政策金利決定会合・本邦貿易統計・南ア選挙・英第一四半期GDP・独生産者物価指数(前月比)・大手金融、事業法人の決算・G7・G20など目白押しだ。イベント前後の動きに注意。「噂で買われ事実で売られる」または、「噂で売られ事実で買われる」ということだ。

今年の経済成長率8達成を目指している中国は今、「輸出依存から内需拡大」への大転換を始めている。8というのは「雇用を維持し、社会を安定させる必要な最低の経済成長率とされている。このための切り札が日本円にして57兆円にのぼる内需拡大策である。しかし、この内需拡大策を阻む一番の問題がある。それは「国民が貧しい」ことだ。今まで中国政府は海外に安い製品を輸出するため労働者の賃金を低水準に抑えてきた。更に今の世界的不況のため工場の労働者の残業代も減り、可処分所得の低下を招ねいた。家電購入には13%を政府が補助するという制度があるにも関わらず購買力が落ちているのだ。工場の労働者はほとんどが農村部からの出稼ぎ労働者だ→人口13億人のうち農民が7億人でそのうちの2億人が出稼ぎ労働者である。農村部が貧しいと内需拡大は難しいということになる。

今、中国では出稼ぎ労働者の「群体性事件」という暴動が頻発している(メディアが報道することはまず無い)→内需拡大には出稼ぎ労働者の基本的な生活の保障がまず必要だろう。ちなみに、「群体性事件」とは暴動のことで中国政府が社会不安を煽らないように柔らかく「言い換え」ている。「言い換え」については下段に続く。

ニューズウィーク誌に「金融危機用語の言い換え」という記事が載っていた。

「不良資産→遺産資産」「金融規制→マクロプルデンシャル監視」「M&A専門銀行家→資本の自由な流れに対するアドバイザー」「世界的金融危機→世界的経済再編成」というものだ。ギャグで「株価下落→株価上昇傾向反転」というのもあった。どんなに言い換えても内容は変わらないのに笑っちゃうね。まあ、「景気は気」からということもあるからイイか…?


Uとのへ


昨日のNHKスペシャルも面白かった。
発端は私が考えるにベトナム戦争辺りから。
財政赤字とインフレの予兆が高まってくる。
ついに耐え切れずにニクソンショック
ニクソンの後のカーター大統領は、
平和への関心は高かったが、経済には、
特に石油ショック後の高インフレかつリセッションには
“ビナインネグレクト”を決め込んだ。
ポール・ボルカーFRB議長の登場により、
インフレ退治が始まる。
政策金利が=12%を超えるというインパクトが
レーガン政権初期まで続く。

財政赤字が何をもたらしたか。
→国債増発→政府による表面利率を抑えた低クーポン
→金融機関は流通市場で逆さやになり(政策金利との)
→国債未消化
→政府は発行市場でも金利の自由化を進めざるを得ず
→1970年のMMFから1977年のMMF生活総合口座化
→公社債投資信託等の委託売買手数料の自由化が進んで
→債券市場が活気付いてきて+レーガン政権の「レッセフェール」
→やがて80年代末S&L危機を契機に
Mortgage債券へと手を伸ばしていった。
その過程は、
商業銀行(資産サイド・貸付)から投資銀行(資産サイド・債券)
つまり、間接金融から、直接金融への
怒涛のような流れだったのである。

間接金融とは何か――
相対である。モニタリングがたえず行われる。
金融は見える範囲だ。
実需そのものだ。
直接金融とは何か――
相対ではない。原資から投資家との間に距離ができる。
オフバランス化である。
投資銀行はLTVの法則に則ってどんどん仕入れ、
じゃんじゃん投資家に売りまくる。
資産(債券)「左」が増えれば増えるほど→VALUE(対価)
「右」の資本を資産担保証券などでレバレッジ
ということになる。
原資から遠ざかれば遠ざかるほど、
(ミックスジュース、ミンチにハンバーグ)
中身がどんどん見えなくなり、
投資家は情報の非対称に陥っていくことになった。
そこにあるのはゲームであり、
美人投票に過ぎなかったのだ。

収益の=51%の報酬(リーマン・ブラザーズ)。
しかも自社株を充てることで、報酬と株価は連動、
株価を上げるためにトレーダーたちは
尻を叩かれる無慈悲な世界へと駆り立てられていった。
レバレッジを上げてゆく。
1996年、ついに念願の業界トップにぶっちぎりで躍り出た。

「every single night, I think and think・・・」
リチャード・ファルド会長は公聴会で説明する。
どうしてこうなったのか、なぜ避けられなかったのか、と。

自己勘定によって、ローンという「借用書」それもサブプライムを、
モーゲージ債「債券」という新しい商品に仕立てて、
最初に売り出したソロモン・ブラザーズの元会長は云ふ、
「多くの人と出会い付き合ったが何かを学び賢くなったことはなかった」
((グッド・フレンド前ソロモン・ブラザーズ会長09,4/19NHK))
アブサロム「父の平和」よこの人らみんなまとめて花いちもんめ
ヘブライ語で「父の平和」の意。フォークナーの著書『アブサロム、アブサロム !』
智笑