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《外為コサックダンスレポート》I will dance cossack

         when winning a great VICTORY.

2009年3月2日

(某ディーラーの独り言)

基本は短期的には戻り売りは変わらずだ。『上がったら売り、上がったら売り』。ただ、テクニカル的には上方向にやや分があるので要注意!

最近のマーケットは為替と株との相関関係がなくなったと思ったら、今度は『リスク回避の円買い』という現象も何処かに飛んでいってしまった。そして今度は『リスク回避のドル買い』が囃し立てられるという日替わりメニューだ。ドルは安心な基軸通貨という理由から買われているらしいが今の米国の財政大出動・量的緩和を鑑みるにこれはドルのバラ撒き以外の何物でもないので安心な基軸通貨という観点は『はてな?』だ。取り敢えず主要通貨の中で今、選好されているのはドルというだけで最近の米国経済指標はほぼ全滅状態(時々意外なグッドナンバーがでるので厄介)ということを考えればこの人気はいつ凋落しても不思議ではないということだろう。某外資銀行の知人の金融マンが『今の為替マーケットは暗闇で美人探しをしているみたいですね』と言っていたが言い得て妙だ。

シティグループ27日、事実上の公的管理に入ったことで他の米大手金融も公的管理に入る可能性がでてきた。米政府は保有するシティの優先株を普通株に転換するため普通株の量が極端に増大既存の普通株の下落NYダウ大幅下落

国が民間金融機関の経営を支配するということは自由資本主義経済の根幹を揺るがすものだ→市場経済統制経済(国家)

日銀の野田忠男審議委員は沖縄金融経済懇談会後の会見で『為替の水準がどうこういうよりも振れ方の大きさが問題で水準そのものはさして問題ではないと発言した。これはまさしく、実体経済を把握・理解していない学者的発言だ。今の水準が円高でどれほどの輸出企業が弱体化し、深刻な財務状況に陥っているということを知らないとは言わせない。日銀の審議委員のレベルなんてこの程度なんだね。以前から何度も言っているが一度、日銀総裁・委員ともにディーラーかファンドマネージャー経験者を任命したらどうなんだろう。


スリペンチュク氏はシベリア出身の若き新興財閥だ。

血色よく、少し肥満気味だがエネルギッシュに世界中を飛び回っている。

アレクサンドル3世がかってカンヌに持っていた別荘を買い取ったり、

どっかの島を買い取ったり、けっこういそがしい。

飛行機の中でキャビアのご馳走にはもう結構と、見向きもせず、

リーマン・ショックが伝えられてもまだ強気だった。

だが、危機は深く鋭く一気にやってきた。

株価は急落し、外貨が逃げた。

氏が手掛ける「メトロポーリアの巨大開発」はテナントが集まっていない。

資金繰りが火の車になってきた。

起死回生の策はあるのか。

ウラル海の北東部には未採掘の亜鉛の鉱脈があることが発見されていた。

スリペンチュク氏とカナダのとある会社が合弁で採掘する計画があった。

ブリヤート鉱山、起死回生の一発だった。

ところが金回りの厳しいのはロシアだけではなかった。

相方のカナダの会社がこの事業から降りてしまった。

日本にも飛んできた。

北尾吉孝氏に「500億円のファンドを提案」。

その日は東京の夜、寿司をうまそうに食べている。


キルギス、首都ビシケク。

ロシア国家の巨大プロジェクトに大統領メドベージェフが来訪していた。

スリペンチュク氏は政府の高官と談笑している。

あのオレグ・デリパスカ氏さえも破算の瀬戸際に立たされた。

「国家とともに」。危機は過ぎたが国の融資を仰いだようだった。

禁断の果実。

しかし、国とうまくやっていける者だけがもはや生き残るのだ。

「国家と同じ方向を向く」スリペンチュク氏の決断だった。

それはあらためて「プーチンのリスト」にかなうものだった。


智證