■労働スタイルの変化と少子化・確実な「貧困の高齢化」
①04年「マクロ経済スライド」は→賦課方式による公的年金の規模縮小と同義
②政府の低所得者の保険料一部軽減と、軽減された分を公的に支援する案は
→負担は所得比例的な色彩が強まるということ
③基礎年金の国庫負担分を増やすということは
→定額の基礎年金の比率が高まるという形になる。
⇒日本経済新聞による「年金案」は、①に対する補完的部分②③は結果的に同じ意味合いということに。
▼現実に起きつつあることは、
(20-64歳人口)/(65歳以上人口)=3.02→1.82へ(2005年→2025年)
▼これから確実に増加する「貧困の高齢化」
▼非正規雇用が3分の1にまで増大。
→生涯賃金の格差拡大
→「保険料の拠出実績が大前提」
=「無年金・低年金者」となる層が着実に増えてくるということ。
⇒考えられる結論は、負担と給付のの組み合わせは、
「所得比例負担+定額給付」的色彩に落ち着く。
これは、高齢時におけるナショナルミニマムを
国民がその所得に応じて支え合うという構造をより明確にする。
(小塩隆士・神戸大学教授08,12/17日経)
⇒全面的な積み立て方式には「年金債務財源問題=270兆円」が立ちはだかる。
■年金は所得再配分システムであって「錬金術」ではない。
消費税方式の隠れた利点は、サラリーマンの専業主婦(第三号被保険者)に対し、
単身者や共働きの配偶者と同様に、基礎年金の負担を求められる公平性にある。
そもそも消費税方式の大きな目的は、基礎年金の課税ベースを大幅に広げることで、
納付者の負担を軽減することにある。
老人、免除者、未納者にとっては負担増になるが、
生活保護という形で国民全体の税での負担分を、代替するということである。
⇒厚生年金(月額報酬)=98,000×15%=14,000(国民年金定額)。
月額報酬は低所得者サラリーマンの基準値であるが、
定額国民年金者とどちらが得であるのか。
(国民年金者は=定額、一方、月額=98,000円以下の人は→生活保護(税による補填)者に)
サラリーマンの低所得層として家計第一分位(年収=369万円以下)が対象とされているが、
だが厚生年金加入者(月額=98,000円以上)よりも
更に低所得のサラリーマン(パートや零細企業の従業員の未納に対して、
厚生年金の適用率を高めればいいというが、一向に・・・)は、
定額である国民年金よりも消費税方式の方が有利になるが、
これは国民年金加入者に分類されており見えにくい。
(=98,000円の壁を取っ払う・かつ一階部分を年金目的消費税にすると
→低所得者、パートも2階の厚生年金に入れるという形に)
⇒1985年生まれ以降の世代でも、保険料の=2.3倍もの給付を受け取れる
という厚生労働省試算もあるが、厚生年金の持続性と世代間格差については
問題は覆いようがない。
しかし、根本的にいえば、年金制度は所得再配分の仕組みであって、
すべての世代が大きな利益が得られるとの「錬金術」ではないのだ。
(八代尚弘・国際基督教大学教授08,12/18日経)