前回の記事、「日本の対米従属は本当か?」におきまして、日本では米軍がやりたい放題のように振舞っている状態を説明しました。ただし、米軍の日本における権利は安保条約や国連憲章により法的に正当なものとなっています。(前記事の紹介著書参照)

 日本は戦争放棄と共に国防権を実質的に米軍に依存している形を取っていますので「保護国」のような扱いになります。

 

「保護国」とは

本来主権の一部である外交権や国防権など、特に対外主権を自国で行使せず、他国にその権限を譲与あるいは奪われている状態にある国家のこと。(wikiより)

 

 ただし、アメリカ以外の国への対外主権は保持していますので辛うじて「独立国」とも言えます。国防権に関しても自衛隊があり、米軍は解釈上、国連軍の代わりということになっています。

 

ともかくアメリカによる日本の戦後統制は大成功しています。日本における成功体験を持って、アメリカは世界の保安官としてワールドワイドに活躍していこうしていたのですが。。。。

(sheriff beauty)

 アメリカは戦争をして占領した地域を日本のように自由主義陣営(アメリカの友好国)に仕立て上げる努力を世界中で行っています。しかし、その成果は芳しくありません。羅列すると。

・朝鮮戦争(引き分け)

・ベトナム戦争(撤退)

・イラク戦争(統治失敗)

・アフガニスタン戦争(統治失敗)

(アフガンの少女)

 

 これだけ上手く日本をコントロールできたアメリカが言い方は悪いですが日本より格下の国々において戦後のコントロールに失敗しています。グダグダです。

 今回のアフガニスタン米軍撤退を受けて確定的になったことがあります。

 それは。

アメリカによる戦後統治が成功したのは日本だけである

という恐ろしい歴史的事実です。

 

 最近話題になりますが、米軍が日本を統治しやすいようにするためWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)を実行し、日本人の精神を骨抜きにしたため、従順でおとなしい日本人にされてしまったという話があります。

 

 

 まことしやかに語られていますが、本当に日本人は従順でおとなしい民族なのでしょうか?某三国人達の意見ではないですが、古来日本人ほどわがままで処しがたい民族もいないと思います。(笑

(日比谷焼き討ち事件・約2000人の暴動、抜刀者も現れた)

 

(映画るろうに剣心)

 

 当然イラクやアフガニスタンでも日本と同様の措置は行っていたはずです。ところがほとんど効果がない。逆説的に考えれば、占領地の権力者の協力なしには成立しないプログラムであるということでしょう。

 

 現在の日本の状態は日本の権力者が望んだ結果でもあるわけです。ここで言う「権力者」とは単に政権だけではないでしょう。古来日本の国家を運営してきた奥の院。朝廷だったり閥だったりなんらかの表に出ない組織が関わっていることでしょう。

(ベッキー)

 では、何故、米軍に破格の待遇を与え、主権の一部を与えてまで対米従属ともいえる状態を21世紀の今でも維持しているのでしょうか?

 それは日本という国家の形態から推測することができます。古来、日本は天皇を頂点とする朝廷をTOPに置き、それを武家政権が支えるという形を取ってきました。

 この形は2~3世紀頃の倭国の大乱から始まります。倭国王の後継者争いが長じて内乱状態となり収集がつかなくなったところ、一人の女子を王に置くことによって収まりました。これが女王卑弥呼です。

福岡県朝倉市広報より

 女王卑弥呼以来、日本では天皇制が少しづつ完成されていきます。最初は合議制による推戴から始まり血筋にはこだわりませんでしたが道鏡騒動あたりから皇族の意識が高まり今の万世一系と言われる形が完成しました。大和朝廷です。

 問題は統治能力です。第一に治安維持でしょう。朝廷にそんな力はありません。歴代の天皇も初期を除いては治安維持に武士を用いました。有名な源氏と平氏もその一端です。しかし、この形態、実に残酷な制度です。天皇を始めとする朝廷が政権を任せるわけですが、単純に強いものが政権を任されます。そのために血で血を洗う戦国時代が歴史上何度も繰り返されました。正に勝てば正義です。

(ワンピース)

 では、現在の勝者は誰なのか?そうです。第二次世界大戦で日本史上最強の日本軍を打ち負かし外国勢力として初めて日本全土を占領したアメリカ軍です。

(USAF)

 節操のない朝廷は誰であれ勝者に政権の権限を与えます。その政権が朝廷の存続を維持してくれる限り誰でもです。これが護国維持の本当の意味です。当然、強い米軍を日本軍の代わりに置き換えることが自然です。用心棒です。

 ここに米軍による横田幕府が完成します。

 

(水戸黄門最高の悪役 スガカン) 

 

 日本の奥の院は米軍を国家の維持勢力として認定します。そして米軍に各種破格の権利を与え、日本列島の新しい政権として運営させてきたのです。実際、米軍が日本に駐留することによって戦後何故か日本の大戦時の目的を米軍が代わりに叶えることになってしまったのです。

 日本は明治期のロシアの南下政策、大戦後の共産圏の拡大を危惧していました。共産主義勢力は天皇制を認めません。護国の危機でもあります。ロシア・共産主義勢力を始めとする大陸勢力は朝鮮半島経由で日本を狙います。朝鮮半島を日本の味方につけておくことは古来日本列島の防衛には欠かせないことでした。これを打破してくれたのは他でもないアメリカ軍です。朝鮮戦争、ベトナム戦争と共産主義勢力を抑え込むためにアメリカは奮戦します。これをどこよりも喜んだのは日本の支配勢力であったわけです。

 

 戦後、アメリカは誰のために戦ったのか?

 

 さらに敗戦後崩壊した日本経済の立て直しの戦略を考えたときの米軍の価値が出てきます。世に言う戦争特需です。

 朝鮮戦争による朝鮮特需はよく話題になります。これにより日本経済は戦後復活しました。このあと高度経済成長期に入るわけですが、戦争特需の説明はここで終わってしまいます。高度経済成長は日本人の勤勉さのおかげと称賛されています。本当なのでしょうか?

 実は高度経済成長を裏で支えたのはベトナム戦争による特需によるものです。朝鮮戦争で軍需物資の補給基地としての日本列島が完成し、その能力をベトナム戦争でも存分に発揮したわけです。その後に目新しい経済成長が見当たらないので、日本の経済は戦争経済と呼ぶこともできるでしょう。

(ベトナム軍女性兵士)

 この戦争経済は、米軍基地が日本国内にあってこそ成立します。この後、イラク戦争、アフガニスタン戦争と日本の米軍基地はフル稼働です。その都度、軍需物資の補給は日本経済を潤わせました。

 ここに米軍基地を日本に置いておきたいと願う勢力が存在することに異存はないでしょう。

 

 21世紀の現代まで、日本で米軍が半占領状態のままにさせている理由の一つとして日本の国家支配勢力の願望が見え隠れしています。日米安保条約、日米地位協定の裏にはこのような思惑があることも考慮に入れておくべきでしょう。