民法上の任意組合と有限責任事業組合(LLP)には同じ「組合」という名前が付いていますが、この2つの組合はどのような関係なのでしょうか?
民法上の任意組合とは、2名以上の当事者が出資をなし共同の事業を営むことを合意することによって設立される団体をいいます。
民法上の任意組合には法人格がないため、組合自体が権利の主体となることはできません。また、各組合員は、組合の債権者に対して、債務を弁済する責任を負います(無限責任)。
民法上の任意組合は様々なスキームに使われていますが、構成員の無限責任という点はデメリットとなる場合が多くあります。
そこで、LLPは、民法上の任意組合の特例として、出資者全員の無限責任を有限責任に緩和するために創設されました。
もっとも、民法上の任意組合と同様に、LLPにも法人格が無く、法人としての責任財産が存在しません。
そうであるにもかかわらず、構成員は有限責任しか負わないため、組合の債権者を保護する必要があります。
そこで、組合の債権者を保護するため、下記のような債権者保護手続が定められています。
・出資財産の限定
組合員の出資の目的は、金銭その他の財産のみとされている。 (LLP法11条)
・全額払込主義の採用
組合員は、設立時に出資額全額を払い込まなければならない。 (LLP法3条)
・財務諸表の作成義務
毎事業年度経過後2月以内にその事業年度の組合の貸借対照表及び損益計算書並びに附属明細書を作成しなければならない。 (LLP法31条2項)
・財務諸表の開示
債権者は、LLPの営業時間内はいつでも、その財務諸表について閲覧又は謄写の請求をすることができる。(LLP法31条6項)
・業務執行者の第三者責任
組合員等が自己の職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、その組合員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。(LLP法18条2項)
・剰余金等の分配規制
組合財産についての分配が規制されている。(LLP法34条1項)
このように、両者の最も大きな違いは、無限責任か有限責任かという点であり、LLPにおいては、構成員の有限責任の手当として、各種の債権者保護手続が定められているというところがポイントです。
