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前回は中国がナイジェリアの内情、中国がナイジェリアに直接投資することによる影響、助成金の効果や通貨の違いによる貿易への影響などを見ていきました。

 

 

 

アジアの中国とアフリカのナイジェリア、一見なんの関係もないように見える2国ですが、互いにかなり影響し合っている所に世界の広さ、また狭さを感じます。

 

 

  第4章 ナイジェリアからインドへ ー成功のレシピにひと味加える

 

・インドでは「」にドルが費やされている

 

・世界に暮らす8人に1人が栄養不足

食糧を十分に生産できていないから?それとも、需給に即した分配が出来ていないから?

 

★一次産品の貿易で使われる通貨はドル

 

・インドとナイジェリアの共通点

➡植民地支配を受けたことがある、多種多様な民族と宗教の共存、若年層が多い、米が大好き

➡この2カ国が互いの主要貿易国となった一因

➡ナイジェリアからインドへ行く品で一番重要なのは石油

➡この親密な関係をつないでいるのはドル

 

・私たちの食生活を支配する「ABCD」・・・穀物商社

 

A・・・エー・ディー・エム(ADM)  B・・・ブンゲ(BUNGE)

 

C・・・カーギル(CARGILL)  D・・・ルイ・ドレフュス(LOUIS DREYFUS)

 

・ABCDは国境を超える食品取引の3分の1を手がけ、穀物にいたっては75%前後を占める

 

・ABCDは個人で買うことができないが私たちの食生活を支配(政府や食品加工工場、多国籍企業などが購入)

 

・国境を越えて取引する彼らはドルを使う

一次産品市場で使われる通貨はドルに

 

★経済発展の始まりは第一次産業である農業

 

どんな国も農業からはじまる・・・国を発展させるには国民を食わせなければならない(食糧安全保障)

➡インドは1960年代に「緑の革命」が起きた。(収穫量増加のための品種や道具改良)また、食糧生産の助成制度もある(ドルの誘惑により作物を輸出すれば、インドに国外所得をもたらす)

それでは、インドは有り余る食糧を持つ豊かな国なのだろうか?

 

・農家が収穫した作物を通じて、インドにはドルが入るが農家の儲けはほとんどない

➡人口の半数が農業での収入に頼っているが、1年当たりのGDPに占める農業比率は6分の1

利益はあまりないのに、労働力はかなり必要

 

・収穫量は不安定だが、食糧を毎日必要としない人はほとんどいない・・・需要が安定している

➡価格の変動に影響されにくい(収入が少ない人は食費を切り詰めるため、多少需要が変動する)

 

★インドの農業が抱えるさまざまな問題

 

・農業という仕事はやっかい

➡収穫量の不安定さ、農地面積が必要、灌漑設備や機械の導入が必要

➡インドの零細農家は2ヘクタールほどの土地しかなく、収入が少ないため設備に投資ができない

➡膨大な書類を記入させ、長い間手続きが終わらない「お役所仕事」や財産権が複雑でわかりにくさなど土地拡大への足かせもある

➡また、米の保存と流通の問題により約3分の1の米が腐る

➡そんな状態で大規模農家による「投げ売り価格」の食品と競わなければならない

 

・このような状態から、フェアトレード運動が活発になった

➡しかし、未だに恩恵を得ていない農家・作物が多い

 

★経済発展の過程でたどる5つの段階

 

・インドはGDPの毎年上昇、子供の生存率上昇、65歳を迎えられる人の増加、識字率上昇など進歩あり

➡その経済発展は特殊であり、これはイギリスの植民地支配の影響

➡イギリスは天然資源の搾取と貿易に注視し、鉄道や行政に大金を投資したが、製造業などには見向きもせず

 

・ウォルト・ロストウによる経済発展の「成功のレシピ」(中国やベトナムも使用)

 

①伝統的社会・・・必要最低限の作物、貿易ほとんどなし、作業効率低

 

②離陸のための前提条件・・・貿易増、灌漑設備や機械への投資、貯蓄が増えるも規模は小

 

③離陸・・・製造業の重要性増(産業の種類は少ない)、農業の重要性低、貯蓄や投資の規模が大きくなる

 

④成熟への前進・・・産業の成長と多様化、インフラ整備、成長と収入の増加が国土全体に広がる

 

⑤高度大衆消費の時代・・・贅沢品の需要増、中流階級を重視、第三次産業の成長

 

・しかし、グローバル国家となるにはもういくつかの段階が必要

輸出で得たドルや企業の利益を投資して、影響力を最大限に広げる

 

・これからは、科学の発展とテクノロジーの最前線にいる者がもっとも恩恵を受ける

 

・発展によって不平等を招く恐れもある

 

★独自のやり方で経済発展を遂げたインド

 

・急成長を遂げたアジア諸国の多くは、安い労働力と国外からの投資によって欧米向けに商品輸出

➡しかし、インドは製造業の確立や企業家精神の育成にほとんど関心を払わず(国外投資もそこまで)

➡では、誰が儲けているのか?

「IT革命」によるIT産業の発展

➡25年前には20億ドルだったIT産業の価値は、いまや1000億ドル

エンジニアたちが資産家に

 

★世界一ともいわれるインドの経済格差

 

・インドは一流のエンジニア輩出で有名(マイクロソフトのサティア・ナデラCEO、グーグルのサンダー・ピチャイCEOなど)

 

・しかし、IT産業には高度な専門知識を持つ人が必要なことや、コスト軽減と賃上げ要求の要求が同時に起きていることから、ただでさえ大きい経済格差がさらに広がる可能性が高い(IT産業で働く人は労働人口の1%にも満たない)

 

★IT産業の成功で露呈したインド経済の二面性

 

・一部の地域のみが発展・・・15%の世帯にしかインターネットが通っていない

 

・世界第二位のスマホ市場だが、実際に使える人はごくわずか(通信の不安定さ、回線環境などの問題)

 

モディ首相による近代化・・・国民全員がITを活用できるようにしたい

➡WiFiエリアの拡大や電子機器製造をはじめとする9つの発表

 

・ナデラCEOは村民50万人へのブロードバンド環境の提供、ピチャイCEOは500の駅にWiFi環境を

➡歓迎の一方、西洋の「デジタルによる植民地化」の懸念もあり

 

★過度の現金依存がもたらす悪影響

 

・納税者の把握や徴税に苦労

➡1ドル分のGDPが生み出される度に得られる税金は17セント(経済大国の半分くらい)

➡現金(ドルではなくルピー)の使用による、所得把握の難しさ(所得税を払った人はわずか3%)

➡クレカは50人に1枚、ATMは5000人に1台しかない

➡銀行取引がない低所得者だけでなく、高所得者の税金逃れも影響

 

★国民に大きな代償を強いた通貨政策の効果

 

・モディ首相による500ルピー紙幣と1000ルピー紙幣の無効化

➡銀行に人々が殺到し、多くの人が食糧や医療を失ったり、工場の生産ラインが停止したりした

➡脱税者や犯罪者だけでなく、国民全体が苦痛を受ける政策

➡更にいえば、犯罪者達は現金で持たない方法もあるためそこまで大きなダメージを受けず

➡しかし、税収増やデジタル決済の増加には貢献した

 

★インド経済の発展を阻む複数の要因

 

・インドのスラムに暮らす人は6500万人

 

・密かに製造業が好景気に(3000万人が製造業に従事)

 

・モディ首相による「メイク・イン・インディア」政策

➡インドに工場を建てるのに邪魔となる法律や規制を緩和するもの

➡国外からの投資40%上昇、グローバル企業の進出、携帯端末製造会社の進出などをもたらす

➡製造業の仕事を中国から奪うことになるのだろうか?

➡まだ、そうはいかない。インフラ整備が必要(ナイジェリアと似ている状況)

 

★石油を求めインドからイラクへと向かうドル

 

・世界最速で成長している国にもかかわらず国外投資家の多くは見送り

なぜ?➡インフラ整備は、何年経てば見返りが来るかわからないから。また、インドは資源が少ない。汚職問題もあるし、銀行からの資金調達も大変

➡しかし、インド政府は変わろうとする意思があり、独創的なやり方で実行に移している(高速道路建設会社へのリスク保障など)

➡インフラ整備は膨大な量のアスファルトが必要(アスファルト製造には石油が必要)

➡ナイジェリアだけでは無理だが、イラクの製油会社は石油を供給できる

➡ドルはイラクへと向かう

 

 

感想

インドといえばITというイメージですが、実際は農業に従事している人が国民の半分というのがびっくりです。私のような田舎者が東京と聞くとめちゃくちゃデカいビル群が敷き詰まっているイメージですが、実際にはそういう場所だけではないことに近い感覚でしょうか。

また、経済発展による経済格差の拡大は注視する必要があります。国力が伸びること自体は良いことなのでしょうが、それは自分が恩恵を受ける側であればの話です。今の時代はとても不安定なので、今現在格差の恩恵を受けている側であったとしても、格差に目を背けずに働きかける必要がありそうです。

さて、次のドルの旅はインドからイラクへと向かいます。イラクといえば石油輸出国というイメージですが、「テロ」というイメージもあります。何やら嫌な予感が・・・驚き

では、次も見て下さる方いらっしゃいましたらよろしくお願いします!