令和6年7月18日(木)
昼食を済ませ句会へと玄関の扉をあけたらミンミンゼミの声、 まさに <高々と梅雨明け宣言みんみん蝉>の世界。明日からは35度前後の暑さがやってくるとか。しかも長期に続くらしい。
今回の最高得点者は4点が2名。小生は2点。
〇私の投句五句
川岸を攻めあげ昇る朱夏の潮 1点
田舎での嘱目句。 満ち潮の威力はすごいものがあります。都会では気づかない自然の力。
まるで生き物のような満ち潮。 「朱夏の潮」の措辞は、格調があると自分としては気に入っているのですが。
バスを待つ老いに試練の大西日 1点
買い物にバスを日々、利用するのですが、1時間に2本の路線。15分ばかり早めにバス停に行かないと、ベンチにも座れず立って待つことになる。炎暑の中、大西日を受けて待ち続けるのは、高齢者にはつらいものがあります。詩情もない月並みな句ですが、「俳句は日記」という先人の言葉もあり、日々の何気ない記録も相応に意義があると思いますな。
最初は、「老いに」でなく「我に」としていたのですが、句の友より「我に」と主体を明示した方が良いとのコメントをいただきました。
潮風に子らの歓声海開き
千葉県外房の故郷勝浦市興津海岸の海開きが12日。まさに月並みな句と指摘されました。
実は興津海岸は先年、ビーチの国際環境認証の「ブルーフラッグ」を取得している日本有数の海岸なんですね。
<誉あるブルーフラッグ海開き>とすれば良かったかな。
炎昼や海ははるかに汐汲み坂
横浜の元町商店街近辺には多くの坂があるんですが、「汐汲み坂」という坂もその一つ。
横浜の開港以前は、人々が潮風に吹かれ朝夕汐汲みで行き来きしていたのですが、今では海は見えずはるかな。 炎暑の中、名残の坂に汗する現代人の悲哀。
夏場所や扇子に団扇集まれり
テレビの大相撲の夏場所中継。観客の多数が扇子や団扇で暑さをしのぐ。最初、下五は「溢れをり」としたのですが、単なる説明でつまらないので、扇子や団扇の群れを擬人化して「集まれり」と俳諧味をだしたつもりですが、理解されなかった。確かに季語の重複もあり、抵抗があったのでしょう。たまにはこんなシュールな俳句もあってはいいのではないでしょうか。
〇私の選句五句
煎餅の音カリカリと梅雨晴れ間 3点
失せし物探しに行くや炎天下 2点
七夕や文字のはみ出る願い事 2点
初蝉やいつも通りといふ安堵 2点
岩礁に両足浸し夏の潮
〇句友のその他の佳句
葉脈を透かせば酷暑和らげり 2点
病院の長き廊下や紫陽花忌 2点
日傘にはアニメが並ぶ女高生 1点
持て余す一人の時間薔薇を切る 1点
レンチンで済ます夕食遠花火 1点
終焉は明日かも知れぬ初鰹 1点
梅雨晴れ間キラキラシューズ玄関へ
観覧車てっぺんにひとり天の川
妻の留守たくわん匂ふ冷蔵庫
来し方のさまざまなこと星涼し
ゆかた地をブラウスに変え着こなせり
初蝉や離れ離れの老夫婦
夏の月夫に付き添ふ救急車