自分がよくやる失敗というのは、誰でもあると思う。
忘れ物をするとか、物をなくすとか、そんな類のものなら、キリがないくらいあるが、身体的な事は、どうか。
定番の「何も障害物がないのにつまずく」は勿論、「小指を固いものにぶつける」というのも、私の十八番。
しかし、私の頻度よりも遥かに多く、遥かに激しい人がいた。
それはもちろん私の夫である。
つまずいちゃいけない所で転び、まさか、という場所で小指を強打している。
すごい。
もうこれは天性のものだ。
そう感じるぐらい、夫はよく転ぶ。
予期せぬ場面での転倒なので、更なる被害も拡大する。何せ、手に何か持っている事も多いから、コップになみなみと入っているコーヒー牛乳をそこら中にぶちまけたり、フライパンを持ちながらひっくり返りそうになって、天井にソースを浴びせたり、ビゲンヘアカラーして、そのままトイレに行き、つまずいて頭を目の前の壁にぶつけて、数字の「一」と書いたり。
「今年の漢字かっつうの」
トイレに入るたび、その「一」の文字を見せられ、「うーむ」としばらく考えさせられた。
と言う事で、夫はとにかくよく転ぶのである。
ふと、視界に入ったので、上を見ると、天井に何かあるのを見つけた。
…。
何だこれ。
朝はなかったよ。
テーブルの上には、マルちゃんやきそば弁当の空き器があった。
ということは、これは…?
これから私は鑑識となり、現場検証を始めるのである。