初めて飼った猫の名は、『ネス』。

ミックスのメスである。

甘やかすだけ甘やかして、奴隷にさせていただいた。

そういう関係になっている事は、彼女も分かっていて、「今、遊びたいから遊ぶの!」と猫じゃらしを加えて、ポンと目の前に置いて来たり、もっとかまって欲しい時は、わざと隣の部屋に行き、

「こっちー!こっち来てー!」

とずっとニャーニャー呼んでいる。

「はい、かしこまりました」

「何でもおっしゃる通りに致します」

力関係はネスの方でも分かっていて、意に添えなかった時は、チラシや新聞などをビリビリと破く。

「あらあら、すいません!なにがお気に召さなかったのでしょうか」

すぐさま女王様のご機嫌取りをする。

そのやりとりを見ている者がいた。

それは「ベガ」である。

ネスを迎え入れたよく年に拾った子で、お手手だけ白いソックス履いた、黒い猫。

私がいうことを聞いている様を、ジーッと見ている。そしてついに

「にゃーにゃー」

と隣の部屋から私を呼ぶ鳴き声。

絶対真似している。

更にビリビリと、紙も破き始めた。

私が、どうやったら言う事を聞いてくれるのか、見ていて、成功したものを覚え、学んでいる。

ご飯の時は、とにかく私を起こしたい。

必死になって物をビリビリ破くも、効果がない時は、袋をガサガサさせる事を発見した。

ガサガサ…ガサガサ…

ビリビリも、ガサガサも、不快音である。

大きな音ではないけど、ずっと長く続けられると、辞めさせる為に、起きざるを得ない。

「しめしめ」

彼女達は発見した事を代々引き継ぎ、ドーベル、ちょこまか、そしてのりべんとうにまで、きっちり受け継がれた。

「ここにご飯が入っている」

ご飯を入れてある戸棚は、引き戸で、つかえ棒を付けておかないと、中のものを漁って凄惨な状態に。

ガサ入れする時は、私がお風呂に入っている時。食べ残したパンやお菓子がいつもカバンの中に入っているのを知っている。

そして…かまって欲しい時。

あー。そうですか。分かりましたよ。

じゅうたんに、う⚫️こを見つけたら、怒らず、猫じゃらしで遊んであげた方が、更なる被害を防げるのである。

これらは全ての「猫を飼う人のあるある」だ。

きっと今日もあちこちで、吐いたものや、う⚫️こを喜んで片付ける人で溢れているに違いない。