初雪降ってから、チラチラと舞うだけで、積もらずなんとかアスファルトを死守している札幌。

シーンとおとなしくしてるけど、きっとすぐドカ雪が降る。

いつも決まってるんだ。

その日はもうすぐ、突然やってくる。

札幌はどこもかしこも雪が多い方なんだけど、住んだ事ない区は、事情が良く分からない。

とりあえず自分住む街は雪が多い。

小学生の頃暮らしていたところは、更にもっと多く、今ほど除雪も頻繁じゃないから、うず高く積もった家の周りの雪は、子供でも、手を伸ばせば電線に届くぐらい。そして、車道に向かって、滑り台を作り、やりたい放題。

「危ないからやめなさい!」と、見つかったら雷が

落ちる所だけど、家の中からは、死角になる。

しかし、やっぱり近所からのお叱りもあって、家の庭の中で「かまくら」を作っていた。

わざわざ雪を積み上げなくても、既にこんもり積もっているから後は穴を掘るだけ。

狭い空間にすっぽり入ると、なんだかとても落ち着く。静かで…、そして寒くない。

自分だけのスペースに喜んでいたけど、そのうちだんだんまた雪が積もり、重さで掘った穴は狭くなる。このままだとペシャンコになるからまた新たに作り直そう!上から踏み潰して、空洞を埋めるために、よじ登って雪山でジャンプしていた。

「えいっ!」

プールで飛び込みをするように、上半身から飛び込んだ時だった。

そこだけドサっと雪が窪んで、私は上半身だけ逆さまに落っこちた。

「わあああああ」

叫んだけど、周りにはきっと聞こえない。

足をジタバタして、シンクロナイズドスイミングのソロパートが始まった。

お題は「犬神家の一族」

まるで「スケキヨ」。

演技がフィニッシュした所で、妹が助けに来てくれた。

起き上がると、窓の向こうに鬼の形相の母が仁王立ち。

せっかくスケキヨを披露したのに、それからは、2度とかまくらを作らせてはもらえなかったのである。