2月。
走り始めて10か月経つ。
当初の予定を大幅に上回った。
雪が降ったら一旦お休み。
冬期間お休みするランナーは、むしろ普通では?
一年で一番寒い時期を迎え、冬の夜の厳しさを嫌というほど思い知る、マイナス10度の毎日。
地面から舞う雪で、息ができない日は、危険なので断念せざるを得なかった。
「ぶわーーーー」と音がする風に「うわあああああ」とひっくり返りそうになり
非常に危ない。
道行く人にも「こんな状況下で走るの?」と不思議に思われているに違いない。
積雪で、歩道も極端に狭くなって、人がすれ違えないというのに、むしろ「邪魔」では?頑張るのは結構だが、ちょっと…
そんな空気が、漂っている。
車道から寄せた雪は、いつの間にかうず高くなり、まるで壁のようだ。
重機で積んだその雪は、崩れることなく同じ高さで、どこまでも続いている。
走るときは、上より下ばかり見るから、積もった雪は大して気にも留めないけれど、「芸術だ!」と私は思う。
橋にたどり着き、川を見たら表面は全部雪だった。この寒さで、川面はすっかり凍ってしまっていた。
私がその上に立って、スケートができるほど厚くはないけれど、流れる川の水が凍るのだから、とてもとても寒いのだ。
そんな環境下で走る人など稀で、事実、雪が降った後にランナーとすれ違った事はない。
滑らない靴で走っても、雪の上というのは非常にぬかるみ、足を取られて、まるで砂浜のよう。
走っても走っても、前に進まないと感じる程、雪の上は過酷だった。
お陰で、同じ距離を走っても、夏の1.5倍時間がかかった。だとしても、ワンちゃんのお散歩や、ウォーキングよりも、所要時間は短いと思う。
せっかちに、やっぱり向いてるランニング。
さあ、もうすぐ走り始めて一年という快挙が起こる。
用事があって、また妹の家に寄った。
横浜銀蝿かもしれないが、自分はカッコイイと思っているので、得意げで現れた。
「サングラスなんだけど」
また横浜銀蝿のツッコミか!?
「値段がついているよ」
……しばし沈黙が流れた。