真っ暗闇につつまれる

丑三つ時のこと。

不安と恐怖と苛立ちを
どうにもできずにいたら

そいつは横を駆けてった。

最初はまわりのやつらと
何にも変わらなかった。

もちろんあたしは
一瞥するだけ、
で終わるはずだった。



でも、気付けばまた
そいつが横にいた。



近づいている気配もなければ
逃げる気配もなかった。

あたしは興味を持った。

振り向かせたいと思った。



歩調を合わせてみる。

話しかけてみる。

待ってみる。



するとそいつはやってきた。

懐いてきた。

あたしは嬉しかった。

愛撫した。

そいつも嬉しそうにした、

ように見えた。





しかし
幸せなひとときの中で
あたしは
そろそろ帰らなければ
ならないと知っていた。





すっと離れて
そいつを見守ってみた。

ついてきてくれるかもしれない、
そんな期待を持って。

でもそいつは
いとも簡単に離れていった。

あたしなんて
存在しなかったかのように。。。





あたしはもう
追いかけていかなかった。




これでいい、
そんな気がしたから。