6時58分

たばこの煙と人の匂いが混じり合うホーム

時計の秒針が容赦なく進む

俺は焦っていた

間に合わない・・・

俺は小走りでホームを駆ける

人込みを縫うように突き進んだ

だが、待っていたのは

走り去る電車の後ろ姿であった

俺はぎりぎりのタイミングで電車に乗ることができなかったのだ

 

電車の赤いバックライトが

俺をあざけ笑うように去って行った

アナウンスは非情にも次の電車の時間を伝えていた

俺の鼻先に冷たい空気が突き刺さる

 

俺は名もないサラリーマンだ

この町の中で地味に積もれて暮らしている

だが、今日は何かが変わるような予感がしていた

そう思いぎこちない足取りでホーム取り残されて立っていたのだ

今日は大事な取引の日だったのだ

もう・・・間にあわない・・・

頭の中はそれでいっぱいだ

どうしても取引を成功させたかった

だが、時既に遅し

俺は次の電車に乗るしかない

次の電車まで20分だ

そう、口惜しさと焦りが交じり合っていた

 

俺はシャツは汗でびっしょり、ネクタイはダブついて

顔はげっそりして、次の電車に乗り込んだ

俺は疲れ切っていた

そして電車に乗り込んだ瞬間だった

 

上司からの着信・・・

電車の中で出るわけにもいかず

無視していた

今度はすぐメールが来た

上司だ!

俺は杉に返信した

 

申し訳ございません・・・

 

俺は無性にたばこが吸いたくなった