どよーん...
(初っ端から落ち込むな)
いや別に落ち込んでるわけではないのだが。どよーん、どよどよ
(落ち込んでるわけでもないならやめてくれない?)
そう言われてもどよどよしてしまって。
 
今日また洗濯干し畳みしながら、正確には一昨日干したのを畳み次のを干しながらクイーンズライクのEmpireを聴いたんですが。
(相変わらず所帯臭い聴き方だな)
日々生活するということはそういうことなのです!きりきり!...どよーん...
きりきりが続かないようで)
聴いてるだけの時はきりきりしてたんですが。
その後勢い余ってビデオを見てしまい...どよーん...
(そんな落ち込まされるビデオなので?)
だから別に落ち込んでるわけではないのだが。どよーん...
(落ち込んでるじゃないか)
いや何というか気分が沈んで...どよどよ...
 
あの乾いて張りつめた緊張に満ちた曲だけでも暗くなる、というか決して明るい気分になれる曲ではないのに、視覚面でもあんなとなると...
Empireの中でも特に好きなBest I Can,、Another Rainy Night、それから一等好きな表題曲Empireを聴いたのだが...
 
まず画面自体が全体的に暗すぎる!
最初の2曲ではヴォーカルがジェフなのかすら見分けがつかなかった。
(声がジェフだろうが)
ヴォーカルが交代した場合など、音源は元のヴォーカルで映像は次のヴォーカル、ということもありうるのだよ。
実際、イングヴェイのでそういうのを見てのけ反ったことがあるのだ。
あそこはしょっちゅう交代していたからなぁ。
おまけにバンドとしてのカッコ良さがないし。
ああいうのをこそ、見分けがつかないぐらい暗い画面にして欲しいよな。
(...)
クイライは暗すぎてヴォーカルすら見分けがつかないのが残念だけど。
(他のメンバーは?)
知らない。
(...)
元々名前も顔も知ってたのってジェフ・テイトだけなんだってばー。
 
あ、それで思い出した。
また白状しないとならないことが増えてしまいました。
(今度は何だ)
前回クイーンズライクをニューヨーク出身と書いてしまいましたが、これもまた勘違いでした。
(今度はどこのバンドと取り違えた)
それが不明でして。
どのバンドだろうな。
バカボン・ジョヴィはニューヨークじゃなくてニュージャージーだし。
(Bon Joviのファンの方、カバ太郎は趣味が偏ってるんです。気にしないで下さい)
別に気にしてもらってもいいけど。
(どうして最近そう突っかかるんだ...)
自分が下らないと思うものほど人気があって、そういうロクでもない連中がのほほんとしてると思うと腹が立って。
(...)
ドンさんやジェフのような優れた人達は苦悩に満ちていたのに!うんがー!
いやそんな下らん奴らのことはどうでもいいとして。
(...)
 
実を言うと、ニューヨーク出身なら何となく理解できるような気がしたのも事実。
どこだろうとアメリカ出身のバンドというのにまず最初は違和感を覚えたが、それもニューヨークと勘違いして何となくしっくりくるような気がした。
なぜアメリカのバンドと知って驚いたかというと、あまりにそぐわない音楽性のような気がしたから。
あまりに重い...
ドッケンだってディオだって全然アメリカっぽくないし、アメリカ的でないアメリカのバンドも多々あるのは知っているが、そういうのともまた違った意味で、クイライはあまりにアメリカ的でないような気がした。
けども、それが最先端の大都会ニューヨークなら、機械的な生活に精神を追い詰められていくような苦悩を表しているかのようなあの独特の音楽と合致しているのかもしれない、と思ったわけで。
そしたら実際はワシントン州ベルビュー出身だった。
こうなると、どういうところか全然知らないから何も言えん...
(無責任な奴...)
 
もっと驚いたのがバンドの成功。
Empireは全世界で600万枚以上売れたとか。
...ええ?!あのアルバムが?
(好きだろう?)
そりゃ大好きだが。
決して取っつきのいい音楽ではないよ、クイライ節は。
ドッケンも取っつきがいい方ではないと書いたが、クイライはそれどころではない、と思うのだけどなー。
はまると抜け出せないけど。
 
我が3大節の中で一番取っつきがいいのは実はイングヴェイ。
あれはバロック調だからね、わかり易い。
あのアホはどんどん複雑化するバロック後の音楽にはあまり興味を示さなかったらしい。
「誰がアホだ!」(←イングヴェイ)
それはそれで、あそこまで自分のものにしてあんなにも美しい音楽作って、美しく素晴らしい演奏してくれたんだから感謝するが。
ついでに言うと、バロックより後でも古典派の方が単純でバカ臭いとは思うし。
(↑カバ太郎はクラシックでは古典派が1番嫌い)
別に嫌いじゃないよ、バカ臭いと思うだけで。
(...前回といい、黙ってろ)
 
クラシックの流れに例えるなら、イングヴェイの音楽はバロック、ドッケンが後期ロマン派、そしてクイライは20世紀前半辺り。
(というと、クイライは前衛で?)
前衛にはまると思うかね、この私が?
(いえ...)
だが前衛的な要素も入ってはいると思う、クイライの場合。
あくまで例え話だけども。
そして厳しい!聴いてるときりきりしてしまうような厳しさがあるのだ!
だがこれに視覚面が加わると...うっううう...度を越えてしまう...
 
で、上のビデオなんですが。
画面が暗いだけでなく、何か不吉なんです。
特にEmpire。
画面自体はこれが1番明るく、おかげで見慣れたやっちゃんヘアではないジェフでも見分けがついたのはいいが、内容は1番不気味だ。
歌詞だけではわかりにくかった部分を理解する大いなる助けにはなるが、あまり何度も見たいと思う映像ではない。
いや他の人には見て欲しいとは思うのだが。
(自分が不気味に思うものを何故人に勧める)
考えて欲しい内容を多分に含んでいるとは思うから。
あれアメリカ社会が抱える矛盾への痛烈な批判だな。
まぁEmpireの場合、歌詞部分には載ってない間奏でのアナウンス調のセリフが社会の病理をそのままに軍事費へばかり予算つぎ込むことへの批判を暗示していたけども。
 
いや批判なんて生易しいものじゃないのではないかな?
あれ歌ってる時のジェフの怖さが半端ない。
こ、怖いよ...
おまけにあまりの凄みでそれ通り越して恐くなってるシーンもある。
こ、恐いよ、恐いよ、恐いよー!
フレディ・ポールとどっちが?)
あれは曲がのどかだし、帽子のせいと思えば笑える恐さだが...
(Starsってのどかな曲だったか...?)
クイライ節聴いた後だったら絶対のどかに聴こえると思う。
ゴミに至ってはもうバカバカしくてバカバカしくて聴いてられないだろう。
(どうしてそう角が立つようなことを...)
それくらいだから、クイライの方はビデオの恐さも半端ないんだよ、本当に。
あの曲調と相まって、本当に迫りくる恐さだ。
見たのが昼間で良かった。
あれ夜見たらうなされそうだ。
でももう1度見たい...
(↑恐いもの見たさ)
 
曲は大好きだし、ビデオも見て言いたいことを理解する方がいいのだろうけど、曲を受けとめるだけで精一杯だ。
やっぱりロック界のタコさんだなー。
投げかける重みが半端ない。
 
他のアルバムも聴きたいけど、ちょっと恐くなるのもタコさんを初めて聴いた頃と似ているかも。
あれだって慣れて今や最も好きな作曲家。
ということは、クイライももっと他も聴いてみるべきなのだ。
しかし...こ、恐いー!
でも聴きたいー!
 
ところでさすがロック界のタコさんであり、クラシックで言うなら20世紀前半に当たる(と勝手に当てはめている)クイライの場合、実は変拍子を多用していることに今回気付きました。
8拍子から7拍子へ、4拍子から5拍子へ、などロックであれだけ変幻自在に拍子を変えるのは珍しいのではないでしょうか?
もしかしたらそれもあの独特の緊張感を生み出す要因なのではとも思いますが。
 
ジェフの声と歌唱がまた緊張感を増幅する。
以前書いたようにちょっとヒステリックな声と歌唱と私は感じるのだが。
オペラ仕込みだからそうなるんだろうと思ってたけど、それだけではなかったのかも。
(↑つまりカバ太郎には声楽がヒステリックに聴こえる)
何かぎりぎりのところで歌ってるみたいな感じがする。
それがあのぎりぎりの緊張を湛えたような曲調に合っていて、ますます惹きこまれるのは事実だが。
だから...
 
Empireツァー後ジェフがバーンアウトになったというのも何となくわかるような気はするのだ。
しかし本当にこういう病気があったとは。
バーンアウト症候群、つまり燃え尽き症候群。
以前アルミンクさんがそれになったんでないかと冗談で書いたが。
冗談ではなくジェフはそれになってしまったのだという。
こういうのって真面目な人ほどなり易いのだろうと思うのだが。
(じゃあ君は大丈夫だろう)
いやあ。はっはっは!
(褒めたわけではないんだが)
そうなってしまうほど真剣に取り組んでた結果がこれでは...
神様あんまりじゃないか!
 
その後ジェフは素行に問題をきたすようになり、バンドメンバーに暴力的な言動をとるようになったという。
あのジェフが...
しかもジェフの場合、結婚相手もそういう状況で選んでしまったのかどうか知らないが、夫人と連れ子がバンドのマネジメントに関わり、その業務に問題があったとかでバンドが2人を解雇したことで更に他のメンバーとの関係が悪化。
ライブ中ステージで殴り掛かったり唾を吐きかけるなどの行為に及んだ後ジェフもまた解雇されたという。
うう...あのジェフが...
あ、この辺の経緯は「この曲を聴け」のクイライで読みました。
詳細はこちらに。http://hvymetal.com/3278.html
あれ?でも変だな。
ステージでの素行については載ってないね。
どこで見たんだっけか?
まぁいいか。
どっか探して下さい。
(おい...)
 
その後バンド名を争ってこちらも訴訟沙汰に。
うう、ドッケンといい、優れたバンドほど危うい均衡の上に成り立っていたものなのか...
和解にこぎ着けたはいいが、ジェフはクイライの曲はEmpire前のアルバム2枚しか歌ってはいけないことになったそうな。
ええ?!あの声と歌唱ありきの曲で?
 
そういう悲しい結末とはつゆ知らず、呑気に聴いてたカバさんは...
実は今一つ白状しなければならないことが...
(やっぱり白状シリーズにすれば?)
うーむ、少なくともクイライシリーズはそれでもいいかも。
 
クイライの聴き方として絶対にお勧めなのが、アルバム1枚を通して聴くこと。
アルバムとしての完成度が非常に高く、全曲から成る全体の構成が見事で、1曲1曲取り出して聴くより全部の中にあってこそ、1曲1曲の価値も最も伝わる、そういうタイプの音楽です。
クラシックで組曲や交響曲から1曲だけ、1楽章だけ抜き出しても曲の価値が半減する、と何度か書いてきたがそれと同様。
 
なのでいつも曲名すら見ずに聴いてたもので、後半1曲目のコーラス部分をずっとSisters!だと思ってたんですが...
だからどっかの姉妹か修道院のことでも歌ってるんだろうと。
ところが今冬再度聴き始めた時「何か変だな...」と曲名見てみたらResistance。
つまりSisters!でなくResistance!だったんですな。
(アホか、おまえは)
あのな、第2音節にアクセントがある場合第1音節は落ちてしまうのよ。
それでもそこに若干の間と若干の音は残るからそれで変だと思ったわけ。
 
この曲のビデオは単なるライブしかないのだが、どうも既に(?)ジェフだけ浮いているような...?
他がドッケン同様の”カッコ良いバンド”を体現しているのに、何かジェフだけ服装も、そして何より動きが変...
あの曲にも合ってないような...?
既に変調をきたしていたんだろうか...?
 
ところで1番売れたシングルがアルバムでその次に入ってるSilent Lucidityだそうですが。
何と全米チャートでトップ10に入ったとか。ええ?!
これも他があまりに厳しい曲調の中で、ほっと一息つかせてくれる絶妙な配置だから価値があるのであって、あれ1曲だけ取り出してそこまで売れるというのはこれもようわからん...
(ビデオはきっと優しげだよ)
あ、そうか。
それなら今度Empire見た後これに逃げてみよう。
(逃げるな。正面から立ち向かえ)
恐いんだよぅー...