蓮池透さんが北朝鮮拉致家族会議から除名された。

思いは同じ筈なのに、何故内部でこうしたいがみ合いになるのだろう?

蓮池さんに対し、家族会では前々から「自分の家族は既に戻って来ているから(無責任なことが言える)」という声があったという。

しかしそんな中傷をされてまで、お気楽に無責任発言をできるだろうか?

蓮池さんなりに考えて、考えて、対話も必要だという結論に達したのではないか?


1番大事なのは拉致された家族を無事に帰還させること。

その為にどんな方策が1番効果的か、一つ一つ検証したことはあるのだろうか?

方策が一つでなければならないと、誰がいつ決めたのだろう?

多様な意見を出し合ってこそ、いい知恵も浮かぶのではないか?

なのにそれを押さえつける方向に動くとは...


率直に言って、私は蓮池さんの方が現実を見据えていると思う。

私の考えもどちらかと言えば蓮池さんに近い。

(ちょっと違うが。 →ウマの鼻先ニンジン

 

制裁一辺倒でどれだけの効果があるというのか?

北朝鮮を憎む気持ちはわかる。

腹に据えかねるのもわかる。

いや、分かるなどと安易に言うべきではないだろう。

実際に経験した者でなければ分からない思いというのはある。

それでも、1番の目的は被害者が無事返されることではないのか?

その為には耐え難きを耐えなければならない部分もあるのではないだろうか?


確かに昨年のミサイル発射以来の国際的な制裁によって、北朝鮮は随分追い詰められてきたように見える。

それによって金正日の求心力が弱まってきたらしい兆候もあると一部には報道されてもいる。

もしかしたらあの国が崩壊する日もそう遠くはないのかもしれない。

(と言っても、今日明日のことではないが)

しかし既に核兵器を保持するあの独裁体制が大人しく崩壊していくだろうか?

自暴自棄になっていっそ世界を道連れに、となるのがおちではないか?

この辺がこの国の扱いの難しいところでもある。

本当にやりかねないから。

そうなれば被害者の帰還どころではない。


よしんばそうならずに大人しく崩壊して行ったとしても、その混乱の中で拉致被害者だけが無事でいられる保証はない。

寧ろ混乱に巻き込まれる可能性の方がずっと高い。

そうした諸々のことを考えた時、やっぱりウマの鼻先ニンジン でいくしかないと私は思うのだ。

例え歯噛みするような思いであっても。


不思議なのは、これだけ長い間に蓮池さんを除く家族会の人達が、国際政治の現実というものを知ろうとしたようには見えないことである。

勿論、こんなに長引くとは思わず、還ってくるのは今日か明日かと待ちわびる内、年月が経ってしまったのだとは思うが。

しかしそれなくして何故制裁のみが有効と結論付けられるのだろう?


例えば前米大統領に面会して救済を訴えたりもしたが、そんなことして何になるだろう?

表立っては人命や人権が重いというのは、政治家の常。

だが実際に国家が動くのは自国の利害が絡んだ時だけなのだ。

利害がないまま、他国の人命や人権の為だけに動く筈もないのが、国際政治の現実である。

きれい事で国際政治が動くなら、今の世界はもっとずっと平和だろう。

大体あのおやじ(いや、ジュニアの方だが)が人命・人権尊重の人なら、イラク戦争など起こらなかったのだ。

人命より石油の利権の方が大事だからああいうことになったんだし。

まぁ、あのおやじだけでなく(いや、だからジュニアの方だが。米国も世襲政治家が多いから紛らわしいなー)チェイニーによる操縦も相当あったとは思うけどね。


同じ思いを抱いてきた人たちが除名という仰々しい形で袂を分かつのを見るのはやりきれない。

でも部外者にはわからないと言われるのだろうな...


......

批判覚悟で思った事を率直に書いてみました。