今日は音楽から離れて驚きのニュースについて。

 

オバマ米大統領のノーベル平和賞受賞には驚いた!

候補に挙がっているのは知っていたけど、まさか受賞するとは。

だってまだ実績は何もないでしょう。

核廃絶への決意宣言は素晴らしかったし、その理念には大いに共感するけれど。

あまりに大きな「先物買い」ではないだろうか?

 

圧倒的な軍事力を持ち、イランや北朝鮮どころではない量の核兵器を保有する米国の大統領がそれを言ったことには確かに大きな価値がある。

しかし...

言うだけで受賞ならどっかの首相だって「国際環境賞」とかあったらもらえるわけ?

何か変...

 

余談だけど、何で90年比にこだわるんだよ?

日本は早くから省エネに取り組んで、努力して努力して、80年代にはEC諸国の4倍、米の6倍のエネルギー効率を達成していた。

それまで怠けていた(?)欧州は90年比を基準に削減幅を表明することで、数値以上のインパクトを与えることが出来る。

でも何で日本がそれにつきあうわけ?

国際社会にアピールしたいなら2005年比で30%削減とかにしろよ、全く。

 

...再び平和賞の話。

中国の人権活動家に贈った方が意味があったんじゃないかなぁ。

まぁ、中国が黙っていないだろうし、選考委員会もその辺の政治的理由で避けたんだろうけど。

今や大国となった中国と摩擦を起こしたくないというところでしょう。

 

オバマ氏は理想主義的側面を持ち、理念としてはそれを掲げながらも、手法に於いては寧ろ現実主義。

本当に今何千発と保有している自国の核を最後の一発まで廃棄する覚悟があるのか?

しかも大統領一人が宣言した所でどうにかなるものではない。

 

米ロが互いの核削減に向けて合意しても、まだその何倍もの核が残るのだ。

その合意も本音は老朽化した分の維持費を削減する方が両国にとって得策だからではないか。

いや、勿論理念の面もあると信じたいが。

そんな削減と、全面廃棄は根本的に違うのだ。

 

水を差すようなことばかり言うな、と言われてしまいそうだが、私は国際政治に関しては徹底的にペシミズム。

専門用語で言うならリアリズム/現実主義。

 

イランの核問題がこの所欧米の非難を浴びているけれど、本当のところ、イランに核を諦めさせることなど簡単なのだ、理論上は

でも絶対に実行はされない。

早い話がイランとイスラエル両国同時に核放棄を迫り、全く同じ条件を提示すれば良いのだ。

現実にはあり得ないけど。

 

イランにしてみれば、今の段階で核兵器まで持つ気はないと思う。

だからIAEAの査察も受け入れると言っているのだろう。

原発さえ持っていれば、そこから軍事転用は容易だから、いざという時(?)の備えとしてその前段階まで整えておきたいといったところではないだろうか?

 

イスラエルは核保有を明言せず徹底的に曖昧政策を採っているが、保有しているのは周知の事実。

なのに何故問題にされないのか?

イラクなんて、持ってもいないのに「持ってるだろうが」と言いがかりつけられて侵攻までされたんだぜ。

 

答:米国がついてるから。

米国の財界も、そしてその財界から裏で政界を牛耳っているのもユダヤ系。

だから歴代米政権はイスラエル寄りの政策を採る。

オバマでさえ、大統領選挙期間中にそれまでのイスラエルに批判的な、というかイスラエルとパレスチナへの公平な姿勢をイスラエル寄りに修正した、大統領になる為に。

 

だからイスラエルの核保有が問題にされることは、少なくともアメリカの覇権(?)が続く限りあり得ないのだ。

それももうあまり長くはなさそうだけど、でもまだ暫くは続くだろうなぁ。人の一生は短い...

イスラエルがクラスター爆弾を使用しても、市街地で白リン弾をぶっ放しても、一時的に形ばかりの非難が出されるけど、結局いつの間にかうやむやになる。

 

凄いダブル・スタンダード(二重基準)だよね。

でもこれが国際社会の現実。

 

北朝鮮の核問題にも同じことが言える。

勿論、彼の国のやってることは無茶苦茶だし、その恥知らず振りには呆れる。

しかし、「あんたら(米国)は何千発も持ってるのに、何で私ら(北朝鮮)だけ放棄せなあかんねん?」というのは事実その通りだと思う。

 

大体何で5大国(米・英・仏・中・ロ)だけ核保有が許されるわけ?

第2次大戦時の戦勝国というだけのこと。

しかもこの5大国だけ国連で拒否権を持つ安保理常任理事国。

勝てば官軍か...

日本政府はホントに常任理事国入りできると思ってんのかね?

あんな美味しい特権、持ってる方は広げる気があるわけないでしょうが。

 

核はなくならないと思う。

目指さなければならない目標だけど、地上から一発残らず消え去ることはない...

例え国際的合意が成ったとしても、何処かが必ず密かに所有する。

自国の優位の為に。

何処も優位に立ちたい上、他の保有国に対して疑心暗鬼になるから結局何処も最後の一発は残しておこうとするんだろうな。万が一そこまで廃棄が進んだとしても。

 

米国が圧倒的軍事力を持ち、核を保有するのは何の為?

自国の優位の為でしょう。

その地位を本気で手放す気があるのか?

全ての保有国がその気になるのか?

 

国際法なんて、厳密には法ではない。

強制力がないから、違反しても制裁まで。

侵攻されることもあるけど、それは弱い立場の国だけ。

米国なんて例え違反したとしても、制裁さえ免れるだろうなぁ。

 

それに人類は既に核の製造法を知ってしまった。

一旦開発され、それに魅入られる者がいる以上、後戻りは不可能なのが悲しい現実。

 

ところで国際社会の二重基準は何も英米仏等大国の専売特許じゃありません。

いや、勿論上記の国々のダブルスタンダードのスケールは大したものですが。(皮肉)

 

以下は私が欧州在住時、ある日のインターナショナル・クラブであった議論の一コマ。

平和について議論していた時、イギリスのおじさんがノルウェーの平和活動を称えた。

小国なのに世界中の様々な紛争の仲介を買って出て、和平に貢献している理想的な国だと。

 

「でもその一方で武器輸出をしてますよね。これって矛盾してませんか?」

と突っ込みを入れたのは私。

人殺しの道具をせっせと売りながら、和平に貢献て...。

でも何処もやってることなんです。

おじさんも言いました。

「でも、それは何処の国もやってることだろう?日本だって」

「日本は武器輸出してませんよ」

「え?まさか...」

って、おい!

「本当にしてないの?]

「ええ」

「それで経済大国なの?」

確かによく考えてみると凄いことだ。

「本当はしてるんじゃないの?」 

してないっつーとろーが。まぁ、それだけまれなことなんだけど。

 

「してません」

と誇らしげに答えたのは、それまで黙って聞いていた日本人の男の子。

彼は私と違って、アイデンティティも含めて今一自信が持てず、ヨーロッパ至上主義者―ヨーロッパ人は大抵そうです―達を向こうに回しての議論であまり発言できるタイプではなかった(ように見えた)。

その彼が、自国の素晴らしい面を発見できて1つ自信を得たのがはっきり見て取れた。

おじさんを言い負かした(?)ことよりその方がずっと嬉しかったなぁ。

「素晴らしい...」と感嘆したおじさんはじめ、参加者一同の我々日本人への賞賛のまなざしも、ね。

 

何で日本はそういう部分をもっとアピールしないの?

ほんと、要領悪いよね、国際社会に於いて。

 

何かどんどんずれてしまったな。

いや、だからオバマさんは好きなんですよ。

本当に頑張って欲しい。

理念も捨てないで欲しい。

彼はそれを掲げることの出来る稀有な政治家(stateman)なんだから。

政治屋(politician)ではなく、ね。

現実は厳しいけれど、今回の受賞がいい方に働きますように。