北朝鮮には、海外人材派遣のための専門学校がある。「対外奉仕働き手養成所」という。

 そこでは、北朝鮮が海外で運営する食堂に派遣する人材を養成する。国によって異なるが、500席くらいのの大きな食堂を設けて営業するどころがある。

 基本的に、その養成所では、食堂で働くための教育をするのはもちろん、歌と踊り、そして、楽器も一つは弾けるようにしている。

 そこで、教育させて海外の北朝鮮食堂が有る、中国、ベトナム、カンボジア、ロシア、欧州などに派遣する。基本的に、海外レストラン支配人(社長)が来て選抜し、連れて行く。

廃業した北朝鮮の海外食堂(引用:YouTube「KOKI TREE 캄보디아」から)

 

 場所によって違うが、海外に派遣された人たちは、休まず仕事をするようになり、月一回の外出があるという。外出は、個人ではなく、団体でショッピングや外食するという。

 食堂には、寝室以外には監視カメラがあって、いつでも監視されている。

 例えば、支配人が北朝鮮に一時帰国したので、派遣員は気安く勤務していた。ある日、組長に一通の国際電話がかけて来た。組長は通話が終わるやいなや慌てて走って行った。そこには、疲れて壁にもたれている従業員があった。組長は、「よ!しっかり立たないか!」と大声を出した。組長にかかって来た電話は、北朝鮮・平壌へ行った支配人がコンピューターを通して自分が運営している食堂を見て指示したのである。

 北朝鮮の海外食堂で派遣された女性たちは、給料として毎月150ドルを受け取るようになっている。しかし、その給料は、すべて帳簿に記載されているだけで、直接受けるのを見た人はいないという。給料のほか、毎月の小遣いで20ドル貰った。その他、ストッキング5足と少しの化粧品くらいである。それて、外出の時、お小遣いの20ドルの中から自分が必要なものを買うという。

 

塀や窓、バルコニーに有刺鉄線(引用:YouTube「KOKI TREE 캄보디아」から)

 

 北朝鮮が稼ぐ外貨は、そのように派遣された人たちからの人件費が多くの割合を占めしているという。

 2016年頃の北朝鮮の海外労働者が稼ぐ1年総額は、約800億円であるが、この額は北朝鮮の国家予算の約10%だという。北朝鮮は、人民の人件費を搾取していることである。

 

 ところが、今は、このような海外の食堂が国連制裁により、ほとんどが無くなったのである。