北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の国境を越え他国へ行った人を脱北者という。

 現在、北朝鮮から韓国へ来た人は、約3万5千人位である。そして、脱北して中国に滞在している人は、20万人以上もいると言われている。また、数は少ないがアメリカやヨーロッパに脱北した人もいるという。

 高位層では、黄長燁元朝鮮労働党国際担当書記とイギリス大使館に公使であった太永浩現韓国国会議員から、他の党労働党の幹部、軍の將校や兵士、芸術家などに至るまで、各界各層の人々が脱北した。

 彼らは、金正日国防委員長の統治時代であった90年代中半ばから本格的に北朝鮮を脱出し始めた。

 

中国から見た北朝鮮住民たち(引用:韓国「朝鮮日報」サイトから)

 

 脱北の理由は、飢え死にしたくないためがほとんどである。そして、北朝鮮当局が主張している政治犯、経済犯もいるし、自由とご希望を求めて脱北したのである。

 自由民主主義の世界に住んでいる人は、他の国に移民ないし旅行を自由にする。職業によっては外国で仕事もする。しかし、北朝鮮の人民は、国によって徹底的に統制されているのである。 70年代、あるいは80年代までは少なくても、国からの配給もあった。どころが、90年代半ば、金日成主席が死んだ後、金正日の統治時代に入ってからは、配給が正常に行われなかったという。

 脱北者たちによれば、当時、200万人から300万人が餓死したという話がある。

 そのようになったのは、北朝鮮の核開発による国連制裁である。国家財政の疲弊したのが最大の原因だと言われている。

 

北朝鮮のミサイル発射試験(引用:韓国「中央日報」サイトから)

 

 人が自分の生まれ育った国を捨てることは容易なことではないと思う。しかし、脱北者たちは、命をかけて自分の国を背にし、何の縁もない国に行くのを決心したのである。