あれは20年程前
初秋が漂う八月
彩づく銀杏並木の劇場
お客様と同席中
君も馴染みの喫茶店で
偶然出逢った
チャイムとともに
扉を開け入って来た君
一瞬驚いたきみと私
狭い部屋のドアのすぐ側
私達の2つ前のテーブルで
時折私達を見ながら
平静をよそおって
サンドウッチと
トマトジュースをはこんでいた
レジを済ませお客様を送り
君の横カウン―前を横切り
私は振り返った
私を見ていた君に
いつものように手を振った
マスターだけが見ている中
何故か秘めやかにかわす
予想外の私の行動に
驚いて
君は嬉しそうに
手を振り返えした
開幕は午後から
私は
君の好きな歌の演目を入れた