「手術は最短で4月の上旬なら少し空きがありますがいかがですか?」
乳癌宣告から間もない次の診察で気合いを入れて挑んだ妻と僕だったが、主治医からの言葉に拍子抜けした。
理路整然と語りかける主治医の話に疑問の余地は無かったが、もう少し乳癌患者に対して今後の進め方についての希望や要望をヒアリングされるものだと思っていたため、二人とも多少面食らった感じで顔を見合わせたのを覚えている。
「4月上旬ってあと二週間もないやん...」
さすがの妻も慌てて、4月下旬で調整できないか主治医と相談してるのを横から聞いていて、「上旬も下旬も大して変わらないのでは?」と心の中で思って笑いそうになったが、不謹慎なのと、妻のそういうところが昔から大好きだったので、言葉には出さずに少しの間二人のやりとりを見て一人で楽しむことにした。
ただこんな時でも悲しいビジネスマンの性で、常にコスト最適化を求めてしまい、高額療養費の観点から月跨ぎとならない5月2日に手術日が決まったのだった。
不思議と目標が定まると、今まで不安になってたことや辛かったことなど考える暇も無くなり、どんなことがあっても妻と一緒に闘い抜くという気概で自分自身を鼓舞して、手術日に向けて妻のモチベーションを最高潮に達することができるように毎日妻を最優先に考え、今まで以上に妻を甘やかそうと決意した。
そして僕の人生で一番忘れられないGWとなったのは言うまでもない。