ある意味、聖地だった。ラブホ・・絶対に、俺の人生では縁のない場所の筈だった。

ホテルの前に着いた時、自分がこれから何をしようとしているのか、訳がわからなくなる寸前だった。

 

俺がホテル内部に入る時に思ったことは、受付の人にどう見られるかということ。

入り口には20歳未満立ち入り禁止って書いてあるのに、連れは若いし・・。

 

だが、俺の心配は杞憂に終わった。受付は、無人だった。

いや、ちょうどその時に無人だっただけなのかもしれないけれど・・とりあえず、

俺の場合は入るときも出るときも、受付に人はいなかった。

 

部屋を、電光掲示板から選ぶ。25部屋くらいあって、どれもこれも広いベッドが映し出されていた。

部屋数はたくさんあったけれど、俺が行ったときには3部屋しか開いてなくて、

どこにしようかって必要以上にマゴマゴせずにすんで、ある意味良かった。

 

部屋に入って、メンバーカードが発効された。

完全無人の、機械に清算する方式を採っていた。

普通のホテルと同じ風な感じを想像していた俺は、この方式に結構とまどった。

だけど、やっぱり人がいるより機械の方が利用するのに変に気を使わなくていい・・

気を使わなくていいけど・・・なんだか、簡単に勝手に時間を延長したり出来そうな感じだったなぁ。

やっぱり、裏には怖い人達が張ってるんだろうか・・?

どっちにしても、俺にとっては機械が相手なのは本当にいいことだった。

ラブホって、みんなあんな感じなのかな。

 

お風呂、浴槽が赤くてびっくりした。

でも、家の風呂よりは断然広くて、綺麗だった。

T子が入った後に俺が入ったんだけれど、お湯が入浴剤で白く濁っていた。

入浴剤まであるとは・・。

 

ベッドにも、明かりの調節とかパネルの光とかがついたり消えたりするスイッチが無数についていて、

遊び心に溢れていた。

冷蔵庫の中には、足元見すぎな値段でビールやらお茶やらが入っていたり、

4000円くらいする大人のおもちゃが入っていたり・・。

カラオケもできるようだったけれど、俺は歌うのは本当にいやだったので、丁重に断った。

・・でも、これって良くないよな・・。歌を歌うことくらいすら、許容してやれないなんて、最悪な気がする・・。

 

それにしても、一つ難点があったとすれば、それは空調だ。

あっつい!とてつもなく暑かった。窓が開ける以外、室温を下げる手段がないのはいかがなものか。

俺が体力無いせいもあって、終わった後は汗ばんでいた。

張り付いた髪の毛が、さぞ気持ち悪かっただろうに・・・。

 

そう考えると・・本当、よく俺みたいな奴が童貞卒業までこぎつけられたもんだ・・。

まぁ、やはり身の程をわきまえない行動だったせいか、きちんと天罰のオマケまでついてきたわけだが。

ぁぁ、不安だ。最初っからコン○ームを付けなかった俺を張り倒したい。忘れるなよ・・。

 

はぁ・・思い出すと、やっぱり現実に起こったことなんだけれど、現実味がまったくないな。

だって・・俺がだよ。俺が。俺だぞ・・俺。

他の誰でもない、俺自身がこの事態を信じられない。

誰よりも俺のことを理解してるからこそ、俺にこんな出来事が起こったことが理解しがたい。

・・実は夢だった、とかってオチだったら、それはそれでも良いんだけどな・・。

贅沢な話だけど、こんだけ不安になればそういう風にだって思ってしまう。

 

片道6000円弱、ホテル代は5000円。

付き合い続けるのは、かなりしんどい。これも、ほんっとうに贅沢な話なんだろうけれど、

やはり一回会うだけで9時間という時間の消費と2万円という出費は、死ぬほど痛いのだった。