一番強いのは誰だ? 山本小鉄 | 美味い酒が飲めるくらいの稼ぎがあればいい



約20年前に買った、新日本の“鬼軍曹”山本小鉄の著書。
当時、新日本、全日本の両団体とも好きだったが、どちらかというと全日派だったので
、この本を読んで本気で小鉄を憎んだのも今となっては懐かしい思い出。

内容は平たく言えば、いかにプロレスラーが強いか(新日本かそれに関連するレスラー限定)。
小鉄いわくアンドレ、ベイダー、ハンセンよりも“裏の奥義”を知っている武藤や橋本のほうが決闘向きらしい…。
単純な喧嘩なら上記の外国人レスラーが圧倒しそうだが、そう思うのは素人考えなのだろう。
この本が出版された時期は97年。ちょうどK1ブームだった頃なのでそちらにも触れている。
なんでもK1選手はパンチが下手なためタイソンがもし参戦したら勝てないらしい。
ボクシングもK1も疎い自分には「そうなのか」と思ったが、さすがにモンスターマンがK1で優勝出来たというのは言い過ぎなのでは?
新日本に大きな貢献をしたはずの、アンドレに関してはやけに手厳しく貶めている記述が多いが、これは自身が小柄だっためコンプレックスなのではないだろうか?
有名な話でアレンに屋上に呼び出されたアンドレが詫びを入れたという一件も小鉄が書くと非常に嘘臭く感じる。
他にも猪木と対戦したアリはバンテージをセメントで固めていたとか、セコンドがバケツにピストルを持っていたとか…。この辺りは新間さんの話なのかもしれないけど。
傑作だったのは猪木に腕を折られ(実際は脱臼)自殺したアクラムが、猪木の夢枕に現れたとかどんなファンタジーだよ。
新日本設立時の苦労話もそれだけを書けば美談になるのに、わざわざネチネチと馬場への嫌味を混ぜ混んでいるのだからたちが悪い。
道場破りのエピソードで傑作だったのは浜田vs折原。
当時、素人だった折原が道場破りに来て、それを受けて立ったのがグラン浜田。
「好きにやってみろ」と四つん這いになった浜田に、折原はトップロープからニードロップを首筋に落とした(笑)
悶絶した浜田が蘇生したあと、折原を半殺しにしたというオチまでついている。
他にも石沢が道場破りに来た相手の腕を折って外に放り投げたというのは流石に盛ってる気もするが石沢ならあるいは…。
小鉄が主導したクーデター未遂事件については、綺麗事と自己弁護のみで軽く触れている程度。呆れるほどに自分に都合のいいことしか書いていない。
この本のなかでも一番の迷言は“ムーンサルトプレスはとても実戦的な技”だ。
ここまで来るともはやカルト教団の布教本みたい。 
小鉄さんは生前、気前がいいと評判だったが、そのエピソードとしてアンドレ、ハンセン、ホーガンの三人を焼き肉屋に連れていった話がある。
四人で120人前。しめて53万円。
こういう面倒見のよさとキップのよさはカッコいいと思っていたが、近年になり実は会社に領収書を回していたと知ってガッカリした。