朱色か、
ピンクか、
本当に迷っていた。
カウンターのねーちゃんも
「はぁ?あんたがピンクなんて選んでどうすんの?きもっ!」
みたいなオーラである。
顔はにこやかにしているがオレにはわかる…。
(まぁ思い過ごしかもしれないが…)
ふと 周りを見渡すと、
ここはauショップ、
ゆえにauカラーであるオレンジに店中が囲まれている…。
オレに戦慄が走った。
こ、これは!
このガラケーは朱色なんかじゃない!
オレンジだ!オレンジだったのか!
「そうだ、オレはauの回し者なんかじゃない!。
こいつらの、特に目の前でオレを小バカにしている受付嬢(まぁ思い過ごしかもしれないが…)の思い通りになどなってたまるか…
お前のそのauカラーのベストと同じ色のガラケーなんてオレはまっぴらゴメンだぜ!」
では、
メタリックピンクの見本ガラケーをあらためて手に取った。
が…
「そうだ、冷静になれば確かにこのねーちゃんが小バカにするのも無理はない…(いや、別に何も言われてはいないのだが…)。
こんな坊主で玉子みたいなオッサンが、よりによってガラケーがメタリックピンクだなんて…。
素敵な恋に巡り会いたいですぅ~的な女子大生じゃあるまいし。」
自嘲気味にたまらずオレは笑った。
今度こそ、受付嬢はきもっと思ったはずだ。
「グリーンのやつにします。(いやグリーンではない、黄緑だ…)」
オレは告げた。
ねーちゃんは
「はぁ?わたしの時間を返せ。」みたな顔である。(いや、やはり思い過ごしなのかもしれないが…)
まぁ無理もない、オレの落ち度だ…すまなかった…。
人は、
最善を尽くしたいと思うからこそ悩み抜くものである…
そんなことはわかっていたが、
まさかauショップでそんなことを味わうとは(--;)。
人生は、
勝手に難しくなってしまうことが時々あるものである。
そして
その、解答者時代の歌丸師匠のお着物のような、
黄緑のガラケーをオレは持ち帰った。

黄緑なのだが、
お分かりになる人はわかるだろう…
顔が完全にキレンジャーである。
まぁ間違いなく
おまえとは長い付き合いになるぜ。