6-5 | 彼岸の彼方に彼の似姿

彼岸の彼方に彼の似姿

一応、読み方は「〈ひがん〉の〈かなた〉に〈かれ〉の〈にすがた〉」です。意味は知りません。というかありません。語感です。

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 あーあ、面倒だ。
本当に面倒だな。
本格的に悪魔との全面戦争が始まるのか。
未だ、私たちは何もわかってはいないというのに。
悪魔とはなんなのか、何処から来るのか、何故いるのか、何故魔章を獲得できるのか、何時生まれたのか。
何もわかってはいないというのに。
何処にでもいて、魔章は獲得できて、15年戦争だっておこった。
そうだろう?
 「――燐光の如く光る光源を――さぁ、おいで。『精霊蟲』(ウィル・オー・ウィスプ)」
この力ある言葉と共に脚、膝、腹、背、腰に、全身にある魔章がすべて両の手に動き出す。
更に魔章は手のひらから宙へと漏れ出す。
その魔力の充満した光は、ある形をとった。
 虫だ。
それは一匹の虫だ。
足が六本、赤い目が三つ。
無色透明の四枚の翅を羽ばたかせて飛ぶ、黄檗色をした、全長1m大の蟲。
精霊蟲。
《偵察か?》
ウィル・オー・ウィスプは問いかける。
「ああ。この学校……荒れてるねぇ。」
まったく。
連続で刺客を仕向けて短期決戦を狙うのか。
「今度は誰が来たって言うんだい……。」
敷地内に感じた気配に向かって飛ばす。
「行け。」
《捕食しても?》
「問題ない。」
 平等院は今日も憂鬱だ。



 ねぇ、シャックス。
あなたどれだけ足りないの?
――四ッ場が、隣に浮かぶ異形に問う。
それは足りなかった。
悪魔であることは一目瞭然だが。
悪魔であるにしてもソレは圧倒的に、足りなかった。
《顔の左半分、左足、両羽、その他諸々だ。》
 ――そう。
この悪魔はパーツが足りない。
『ハデスの右目』とも形容される、所謂高級悪魔だった。
が、その体が欠けているのだ。
 《全く酷い話だ。現界時にバラバラになったままだなんて……な。》
私は取り戻すわ。
私の為に。
《そうだな、相容れない俺とお前の夢の為に。》
貴方は腐神ハデスの現界を。
《お前は悪魔の掃討を。》
願って、貴方の体を追っているのよ。
《ふん。どうしてお前はその饒舌さを発揮しないんだ。有力な情報を持っている奴がいるかも知れんだろうに。》
だって……私、人見知りで…………。
 封鎖されて、入れないはずの学校の屋上での一コマだった。
 



 さて。
さてさて。
四ッ場ちゃんは未だ現れない。
一体屋上で何をして居たのだろうか?
そんな事を考えていた、昼休みの俺は、例のメンバーと昼食を摂っていた。
座席は
 俺。つまり戌井巽を中心として。
右隣に雀。
左隣にアリシア。
正面に白夢。
右斜め前に瀧。
左斜め前に東風。
 そう誰が見ても分かるだろう。
この布陣は誰がなんと言おうと、ハーレムだ。
そう、ハーレムなのだ!!
正面、左右に美少女×3。
それぞれタイプの違う美少女なだけによりいっそうテンションが上がるぜい!
……まぁ誰も喋らないのだがな。
淡々とお昼の校内放送「放送事故(ブラッドキャスト)」だけが流れている。
ネーミングセンスに若干じゃ足りない程度の疑問を覚える。
 しかし沈黙の食事でも、美少女を眺めているだけで至福の時間とは。
美少女効果これ如何に。
これで、事件も何も無いと良いんだけどなぁ。
なんて願いは届くはずもない。
 「緊急放送でーす、緊急放送でーす。」
何処か間の抜けた放送が流れる。
「またまた不審者でーっす。皆さんさっさと逃げるよーにー。」
誰だよこのやる気のない放送。
脱力しすぎだっつうの。
「雀?」
探知を頼もうとした。
「遅い。遅いわ、ナント君。30年後に出直しなさい!相手してあげないから!」
アホだコイツ。
「校庭……違う。入り口。校門のトコに居るわ……。」
しかし仕事は出来るので(美少女だし)邪険に出来ない。
何故なら美少女だから。