5-4 | 彼岸の彼方に彼の似姿

彼岸の彼方に彼の似姿

一応、読み方は「〈ひがん〉の〈かなた〉に〈かれ〉の〈にすがた〉」です。意味は知りません。というかありません。語感です。

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「敵発見解析開始情報検索。一定期間動作停止援護要請。」
白夢の右手がものすごい勢いで、タブレット型端末をタッチアンドドロップする。
白夢ちゃんはとりあえず、置いといて。
「はいは~い。要請は受信しました。では―空に侍る蜘蛛の子等、その糸ににて絡めよ―『撚り糸の鋼網』」
雀の右手の魔章から糸が網状になって飛び出す。
と同時に這い回る小さな蜘蛛からも糸が吐き出され、鬼蜘蛛が……
「ぉぉぉぉおおれのましょおおおおは『火』だぞおおおぉぉぉぉ」
燃えた。
主に糸が。
「くぅぅうぅぅぅううう」
雀が苦悶の声を漏らす。自分の魔章の一部である蜘蛛が攻撃された副作用だ。
「鬼、下がってなさい。多分……」
「ああ、この状況はキツイな。」
鬼蜘蛛は『章』に戻り、子蜘蛛と共に戦線を離脱した。
「こやつ、オイラのグングニルじゃ刺せないなぁ。」
この野太い声はもしや。
「瀧?」
「応。オイラが瀧龍籠。物質化してない無定形は不完全なグングニルじゃ刺せんけん、出番はなさそうじゃ。」
「アリシアは?」
さっきから苦い顔をしてるアリシアに聞いてみた。
「同じ『火』ですから、効く気がしませんの。」
あ、そういやさっき南瓜王とかいってたな。
「東屋……は?」
起きてるかなぁ。起きてるよなぁ。と思いつつ聞いてみる。
「僕、は、効く、か、どうか、、、判り、ま、せん。」
……うわぁ。白夢ちゃんの真逆だよ。文章切りすぎ。聞いてるこっちが眠くなる。
「やっ、て、みましょう、か?」
「何相談してんのぉぉ?『ぼぉぉぉぉおおおおおおうううう』」
あの、擬音語が魔章のキーワードか。
「とりあえず、生徒が焼け死ぬ前に、外に追い出すぞ。」
先生!
確かに気絶したまんまだ。
魔力が途絶えれば火は消える。つまり、戦闘を過熱させれば良いんだな。
ドババババババ。カチャ。ドバババババ。カチャ。
先生が拳銃で敵を窓に追いやっていく。
「くっそお、うざったいなぁぁ」
先生を燃やそうとする敵。
「目、くらまし、くらい、なら―砂漠に荒ぶ熱風を呼ばん―『砂迅』」
東屋の魔章が活性化すると同時にどこからともなく砂が降り注いだ。
熱き砂は敵の顔、腕、足などのむき出しの部分を次々と叩きつける。
「ワタクシも負けてられませんこと。―その目に宿る光は、死者の魂―」
アリシアは左手を掌を上に前に突き出すしている。その掌から小さい火の玉が
ポンッ、ポンッ
と飛び出し、アリシアの周りに漂う。
「『火炎の槍』(フレイムバレット)」
唱えながら左手を上げると、火の玉が凝縮して槍の形になった。
手を下ろすと一斉に『槍』が襲い掛かる。
「ぎぃぃぃやぁぁぁぁ」
先生の銃と東屋の砂、アリシアの炎に耐えられなかったのか敵は窓から飛び降りた。
「ふぅ。とりあえず……」
「作戦は、完了だな。皆、追うぞ。」
……そういや、彩詩は大丈夫かな?