噂によると、アジマさんは色んな楽譜を見るのはお好きなようですけど、違和感を持ってる楽譜も少なくないようですよ? ・・・ってなわけで、前回書いたナショナル・エディションの続き。 この楽譜、「作曲者の意図に忠実に」ってのが売りの楽譜なんだけど、『ホントかよ!』って突っ込み入れたくなっちゃう箇所もテンコ盛り。山盛り過ぎちゃって全てに言及する事は出来ないけど、例えば、ソナタ2番。



1楽章のラスト(240小節目)の変ロ(B-flat)の音。パデレフスキ版と比較すると1オクターヴ下げてあるんだけど、注釈見ると「もしショパンの時代のピアノが現在と同じ88鍵だったら下げて書いていただろう」・・・みたいな事が書いて有んの。 おいおいおーいビックリマーク


そりゃ、楽譜に書いてある音を「わざと」下げて弾く事だって有るよ? 例えば、ベートーヴェンの「テンペスト」ソナタを弾く時に、3楽章の43(&270)小節目の左手を楽譜に書かれてるより1オクターヴ下げて弾くようにしてるんだけど、それは「楽譜とは違う」事を意図しながら下げてるわけで(シャーマー版は「下げても良いんじゃない?」って書いてある)、元の楽譜を勝手に「こうだろな」って変えちゃうのってどうだろなあー って思う。人の事は「勝手に変えちゃいかんビックリマーク」とか言っときながら、自分では変えちゃうエキエルって一体ガーン笑。



上記のショパンのソナタの1楽章ラスト部分だって、今までの楽譜を見てた人でも、「もし88鍵だったら・・・」って考えて「自主的に」下げる人は少なくなかった。僕が弾く時はどうかって言えば、ベートーヴェンの「テンペスト」の上に書いた箇所では楽譜の音を1オクターヴ下げるけど、ショパンの葬送ソナタの1楽章のラストは下げない。それは、下げて弾くと倍音がキレイに響かない気がするからで、「たとえ88鍵有ったとしても、そうは書かなかったんじゃないか?」って風にも思うから。大事なのは、「作曲者の書いた通りに印刷して、あとは演奏者の解釈に任せる」って事だと思う。 このナショナル・エディションって、ホントに「任せてくれない」。付点のリズムはこう、この音の取り方はこう・・・みたいに、巻末の冊子には演奏法に関する注釈がテンコ盛り。そんなの読んでると、お前らどうせバカなんでしょ? だから親切にここまでしてやってるんだよって言われてる気分になってくるし、意地でもその通り弾いてやるもんかって気分にもなってくるむっ笑。



そんな事を言いつつも使ってるナショナル・エディション。 前回日記で触れた、マズルカの曲順をはじめ、ピアノを弾くからには「作曲者が書いた本来の姿を知りたい」って思うのは当然でしょ? だから最新の研究の成果は気になる。けど、「エキエルをはじめとする、『研究者の解釈』はスッキリ洗い流したい」から、その辺りは自分の目と耳を頼りに・・・



ナショナル・エディションって、音符の隙間から、編集者のワタシがいつも正しい、従いなさいってオーラがプンプン出てる感じ。 折角良い所も沢山有る楽譜なのに勿体ない気がするな。