短歌行 曹操 (一部抜粋)
月明星稀 乌鹊南飞 月明星稀 烏鹊南飛
绕树三匝 何枝可依 繞樹三匝 何枝可依
山不厌高 海不厌深 山不厭高 海不厭深
周公吐哺 天下归心 周公吐哺 天下帰心
星が見えないくらい月が明るい。
(中秋の名月前後のスーパームーンで明るい)
(中秋の名月前後のスーパームーンで明るい)
カササギは越冬のために南へ向かう。
(カササギやツバメの渡る季節、秋)
(カササギやツバメの渡る季節、秋)
向かった先で、どこに落ち着こうか迷っている。
山は高いことを厭わない。海は深いことを厭わないように、
周公は、良い場所を求めてさまよってる人々を、当たり前のように手をさしのべて迎え入れた。
(周公旦:周建国の祖武王の弟。彼は食事を中断してでも、客人を待たせずもてなした)
だから、豊作の吉兆ともいえるカササギは訪れ人々が賑わうように、優秀な人々は喜んで集い、天下の再興が訪れた。







赤壁の戦い(208年冬)の前に曹操が吟じたと言われる詩です。
烏桓との戦い(207年)を征し、河北を平定した曹操は劉表を攻めるべく南下(208年秋)。これを怖れた劉備は曹操から逃れ、魯粛と面会し孫権と手を組む。長江の赤壁で起きた「曹操軍」vs「孫権・劉備軍」の戦です。(劉表の後を継いだ劉琮が曹操に降伏したのが9月。たぶんこの一年の間に詠み、曲をつけたのではないか、と推測します)私は、この詩の「カササギ」を一番のポイントに据えて考察してみました。
カササギ(鵲)は、イナゴなど田畑の害虫を食べる習性があります。作物を荒らすことは少なく、当時の人々から非常に慕われた鳥、日本で言う「ツバメのような益鳥」と推測しました。
日本では古来よりツバメを、「作物を荒らさず害虫を食べ、人の集まるところに営巣し商売繁盛のシンボルである」とみなしているので、イメージがつかみやすいと思います。
そして、どちらの鳥も寒くなると温かい南方で冬を越します。
こうしたことを、民はもとより、畑と兵を結びつける屯田制を推進した曹操も、身近に感じていたと思うのです。
曹操:できるだけ自分の領土にカササギが居れば、豊作になりやすい。作物が良く育つ。
曹操:できるだけ自分の領土にカササギが居れば、豊作になりやすい。作物が良く育つ。
農民:カササギが自分の畑に来ると豊作になる。
≪吉兆がやってくる≫という概念が当時の人々に根付いていたのではないでしょうか。
≪吉兆がやってくる≫という概念が当時の人々に根付いていたのではないでしょうか。
後漢末期、不作があれば戦を止めざるを得ないほど、食料供給に余力がありませんでした。裏を返せば、豊作の土地には、人が集まり兵が養われ、他国や在野の士からも一目置かれることになったでしょう。




ところで、カササギの巣はクスノキ(常緑広葉樹)に作られることが多いようです。防虫剤(樟脳)の材料に使われるクスノキ。樟脳の匂い好きなのかな。虫を防ぐ、という意味では、カササギもクスノキも似たもの同士ですよね

・・・曹操が匂いを発さなければカササギは寄ってこない。
虫を寄せ付けない、曹操率いる政体の清廉潔白さ。そういう気概があったのでは・・・
チラッ
虫を寄せ付けない、曹操率いる政体の清廉潔白さ。そういう気概があったのでは・・・

この曹操像は安良の推測です。深読みしすぎてますかね(^o^;)ウヘヘ

ココマデ余談です





この詩を詠んだ頃の曹操は、自分を周公になぞらえ、民や優秀な人材をカササギに投影している、と感じました。曹操の考える害虫が誰なのかはわかりませんが・・・
不徳な宦官、能無し役人、統治を乱す宗教団体とか、かなあ( ̄ー ̄)ニヤリ












月明星稀 烏鵲南飛 : 自然の摂理を歌っている。
繞樹三匝 何枝可依 : どこかに営巣するのも自然の摂理。
山不厭高 海不厭深 : 自然の摂理を歌っている。
周公吐哺 天下帰心 : あたかも自然の摂理のように自分が振舞えば、天下が自分に心を寄せることは自然の摂理である。
曹操は文化風習に根付いたすばらしい詩を詠んだので、現在でも読み親しまれているのだと思いました。
月明星稀 = 「見よ、他の勢力を退け、旺盛な武威を誇る曹操軍を」今まさにひときわ輝く月の下、その輝きを魏にたとえ、曹操は乱世の英雄として詠う。って思うと、しびれます☆
董卓、呂布、張邈、陶謙、袁術、袁紹、劉表、そしてこれから最後に残った孫権と劉備を降さん・・・大船団を背景にした壮挙の直前であることが、鮮やかに思い浮かびました。
董卓、呂布、張邈、陶謙、袁術、袁紹、劉表、そしてこれから最後に残った孫権と劉備を降さん・・・大船団を背景にした壮挙の直前であることが、鮮やかに思い浮かびました。
短歌行について教えてくれた、妙妙様。
こうして一つの詩を2人で調べあい、色々な角度から見ることで、いつもより楽しい経験ができました。
この記事の端緒を開いていただき感謝しています(*^▽^*)