2024・4・9  強い雨

昨日の素晴らしい天気と打って変わって、今日は大雨、

時々強風に傘が飛ばされそうな中、今年度初めて長沼小と打越保育園に挨拶に

出向きました。

 

2月2日から4日、二泊三日佐渡の松前神社と新潟の弥彦神社に行ってきました。

大久保長安の会では、大久保長安が文化芸術の活動をしていたことに着目、

ハード面の行政だけでなく、芸術文化を大切に、庶民にその楽しみや、必要性

を伝えていたことを調べ始めています。

武士の家系ではなく、能楽師という家系に生まれた長安が、どのような生涯を送ら

れたのか、長安の人物像を知るには重要な事であると考えてきました。

 

今回、佐渡に残した新たな長安の足跡が見つかったことで、専門家の方とともに

検証に参加しました。

残された、三十六歌仙の絵馬扁額が、本物であるかどうか鑑定していただきました。

結果は、奇跡に近い素晴らしい絵画であることが分かりました。

 

大久保長安が佐渡に初めて渡ったのは、松﨑港でした。

1604年(慶長9年)4月10日に松﨑に到着と、松前神社史に記載されていました。

 

松前神社は1269年に創建され、佐渡海峡に突き出た岬に鎮座する、海の守り神

でした。本土との最短距離に位置していたので、明治初期まで海上交通の要所と

して栄えていたといいます。

 

長安たち一行は、どのようなルートで、佐渡まで来たのでしょうか。

 

言い伝えでは、松が﨑から上陸しようとしたが、海が荒れて、中々接岸できなかった

そうです。そこで、松前神社(まつざきじんじゃ)では、海が鎮まるよう祈祷が行われ、

ほどなくして波が静まり、長安一行は上陸できたのだそうです。

以来長安は、この松前神社を保護しています。

慶長14年1609年、松前大明神(松前神社)を再建しています。

相川に春日社が建立されたのが1607年ですから、佐渡に赴いた短い間に神社

仏閣の整備を、金鉱山開発と同時に手掛けていたようです。

 

今回佐渡に行ったのは、松前神社に奉納された、嵯峨本を模写した三十六歌仙

の絵馬扁額があることを知ったからです。

36枚のうち、現存しているのは35枚でした。

書体は角倉素庵(角倉了以の長男)・人物の絵は加納一雲・装丁は俵屋宗達

神社に寄進したのは、大久保長安という当時のそうそうたる美意識を持った

一級の教養人、経済人が一堂に会して創作し、寄進したものでした。

保存状態が極めてよく、今は片田舎となった街の一角からこのような作品が

見つかったのは奇跡に近いと、専門家の先生が興奮気味に話されていました。

村の人々が、本当に大切なものとして代々受け継いできたのでしょう。

150軒近くあった家も、いまは半数以下となり、神社で維持するのが難しくなって

佐渡博物館が管理しています。

今まで三十六歌仙の絵馬扁額は、書体が本阿弥光悦で、下絵は俵屋宗達の流れを

くむ人物と言われていたのが、はっきり作者が判明したのです。

大久保長安をあらわす「大」の字も確認できました。

新潟県の有形文化財に指定されていますが、まさに国宝級の扁額だとのこと、

7月の佐渡世界遺産認定に弾みがかかるといいのですが・・・。

 

翌日、同じ三十六歌仙扁額を所蔵している、弥彦神社に伺いました。

 

松前神社より一回り小さいもので、神社が火災にあったとき、被害を受けたのか

全体がほとんど黒ずんでいて、はっきりしませんでしたが、かすかに残り絵や

書体から、書は角倉素庵、絵は加納一雲、装丁は俵屋宗達だと断定されました。

ここでも、大久保長安が依頼し、弥彦神社に奉納したことが突き止められました。

弥彦神社には、長安寄進の春日灯篭が宝物館に収まっています。

扁額は、春日灯篭の上に2枚掲げられていたもので、隅に与一と書かれていた

のを、大久保長安の会の会長が見つけ、この扁額も松前神社の絵馬扁額と作者

は同じであると直感したのが始まりでした。

与一は、角倉素庵の幼少期の名前です。

素庵は、長安亡き後、江戸幕府の治水灌漑工事など、長安が手がけてきた

事業を引き継いでやっています。何よりも木活字を使って、出版事業をおこして

います。嵯峨本、史記、方丈記、徒然草など多数出版しています。

木活字を使うことで、正しい本を残したかったのでしょう。

写本はどうしても、間違いやすいのだそうです。

 

長安の周りには、本当に多彩な才能の人たちがいたのだということも分かりました。

 

一枚一枚計っては、写真に収める作業を見て、文化財の認定作業は、細かい

忍耐力のいる作業だと思いましたし、なぜ文化財に指定しないのかなどと

軽くはずみに言うことは許されないと実感しました。

 

6月は佐渡のお祭りが村々で行われ、それに伴って能楽が見られるそうです。

4度目の佐渡も、楽しめそうで、行きたいと思います。