監督就任記者会見で自らを「スペシャル・ワン」と評した前任者に対し、「普通の人」と評したアブラム・グラント。
5月24日、チェルシー公式サイトにて彼がクラブを去ると発表されました。
オーナーと良好な関係を持っていた彼がクラブに留まらなかったのは意外でした。
それだけ現場からの声が厳しかったのか?
監督としての采配能力は最初に指揮したマンU戦から疑問が持たれていました。
コーチングライセンス未取得。
欧州主要リーグでのクラブ指導歴無し。
チェルシーサポーターから「You don't know what you're doing(お前は何も分っていない)」などとチャントを歌われる始末。
オーナーの思惑と異なり、多くの選手やサポーターから支持されていた前任者の後をシーズン中に継ぐ事は容易な事ではなかったはずです。
難しい時期にチームを引き継いだ彼はスティーブ・クラークに今後もヘッドコーチのポストを確約し、留任させました。
戦術担当として当時アヤックス監督だったヘンク・テン・カーテを招聘するなどサポート体制を整えていきました。
システムは従来から安定感ある4-3-3システムを採用。
大幅な戦術変更なく、モウリーニョ前監督の遺産をベースにした戦い方を続けました。
この事が徐々に功を奏していきます。
モウリーニョ・ショックでメディアに不満を漏らしていた選手もいましたが、年が明けるとリーグ戦無敗とチームの状態も結果に伴い徐々に上向きになっていきました。
リーグ戦は最終戦まで優勝争いをし、UEFAチャンピオンズリーグではクラブ史上初となるファイナル進出。
しかしながら、無冠のシーズンとなってしまいました。
UEFAチャンピオンズリーグ 準優勝
プレミアリーグ 2位
カーリングカップ 準優勝
FAカップ ベスト8
結果が伴わなかった為、解任は止む無しといったところでしょうか?
ビッグクラブ化した今のチェルシーは常に結果が求められます。
オーナーからスペクタクルなサッカーとシェフチェンコの起用を求められていたと思います。
オーナーやクラブ側の求めていた条件に達しなかったのでしょう。
シーズンオフとなり、チェルシーは次なるステップへ進みます。
オーナーが求めるスペクタクルなサッカーへとチームを変貌させるのか?
再度、勝者のメンタリティを持った組織的な常勝軍団としてチームを強化するのか?
全ては後任監督の人選で見えてくるのかもしれません。
グラント監督には…ホントお疲れ様でしたという気持ちです。
そして…クラークとテン・カーテの去就が気になるところです。