こんにちは。

 

先日のブログでも報告しましたが、先週の土曜日にトロピカル・サイクロン「マーカス」が通過した。

 

マーカスって、なんだか頼れる兄貴、あるいは陽気な怪獣みたいな名前なんだが、これが結構な暴れん坊で、最高風速は時速120km、色んなモノをなぎ倒して去って行った。

 

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陽気な怪獣、マーカス

 

前回のブログの中では、「ダーウィンはサイクロン仕様にできている」と言い切ってしまった自分だが、いや、甘かった。

 

考えてみると、ここ20年の間にオーストラリア北部で起こったサイクロンは7回、しかしサイクロン「カルロス」(2011年)を除いた6回はダーウィンを直撃してなかったのだ。

 

その「カルロス」もサイクロンの中では一番小さいカテゴリー1のサイズ。

今回はサイズも大きめのカテゴリー2、しかもダーウィンの真上を通過したとあって、被害も考えていたよりよっぽど大きかった。

 

正直に言いましょう。

サイクロン、舐めてた

 

サイクロンの最中もそれはそれはすごい風で、窓を閉めても雨が吹き込み、ちょっとドアを開けただけで、風圧のあまり私の体(中年太り)が飛ばされる勢いだったが、本当の恐ろしさは嵐の後にやって来たのだ。

 

停電。

 

これを書いているのは月曜日の午前中、サイクロンが来てから2日経っているのだが、未だダーウィンの北部地域の広範囲に渡って電気が復帰していないのだ。

 

ダーウィンは暑く、雨季の真っ只中の今現在、扇風機やクーラーがないとマジやってらんない気候(気温32度、湿度80%)なのだが、みんな一体どうやって過ごしているのか。

 

(→私の地域は幸い停電にならなかった)

 

うちわ?

 

今回のサイクロンで私のアパートが雨漏りし、タオルやら雑巾やら大量に使ったが、もし電気がなかったらこれを・・・手洗い?

 

そして、生活に欠かせない水。

 

断水した地域もあり、またつい1時間程前に解除されたが、水道水を沸かして飲むようにという指示もあったり(水道水に雑菌が混ざる可能性があるため)、電気のない家庭はどうやって水を沸かすのか。

(ダーウィンの家庭はガスの普及率が低い)

 

前回でも触れたように、1974年のサイクロン・トレイシーによって、ダーウィンの多くの街路樹や公園・学校の木々は壊滅状態となった。

 

ダーウィンに住む人、来た人ならお分かりだと思うが、ダーウィンは日差しが強く、木陰や屋根がない所はおちおち歩くことも厳しい。

 

その為ダーウィンの人々は、早く大きく育つ、アフリカン・マホガニーという木を輸入し、こぞってサイクロン・トレーシーの後に植えのだ。

 

ビッグミステイク

 

この木は木材としても優れていて、見た目も「この木なんの木・・・」と歌ってしまいたくなる程、立派な木なのであるが、ダーウィンの土壌ではこの木の根は浅く、広く育つ特性があり、立派な木の割に突風によって呆気なく倒れてしまうのだ。

 

立派な木であることが仇になって、これを1本撤去するだけで○百万円かかってしまう場合もある。

 

そこでダーウィンの人たちは「これ・・・いつか倒れるんだろうなあ・・・」と知りながら見て見ぬふりをしてきた。

 

そのアフリカン・マホガニーが今回のサイクロンにより、至る所で倒れてしまったのだ。

 

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巨大! 画像はお借りしました

予想通りといえば予想通りなのだが、予想外だったのは、この木が電信柱、電線を巻き込んで倒れたことであり、今や、道路に電線が落ちている状態で、電気でも流したら漏電、あるいは感電の恐れもあるのだ。

 

しかもこの立派な木が重要な道路も遮り、あるいは停電によって信号も役に立たず、道路が危険な感じになっているので「いっそ、お外に出ないでください」というお知らせまで出ている。

 

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倒れた木と微笑む通行人

当然、学校やあらゆる仕事も本日はお休みである。

 

しかしそこはダーウィンの人たちの逞しさだ。

 

ダーウィン市も道路の木を除去したり、休みなしの活動を行っているわけだが、ダーウィン市民も負けちゃいない。

 

自宅からマイ・チェンソーを持ち出し、自宅はもちろん、自宅の周りで道に倒れた木や、近所の学校や公共施設の倒木を協力しながら撤去し始めたのだ。

 

私は都会暮らしが長く、チェンソーなんてものを持っているのはホラー映画のキャラか木こりしかいないと思っていたのだが、ここに来て結構な人たちがチェンソーを持っていることを知った次第。

 

(ダーウィンのサイクロン復興作業のビデオはコチラ

 

 

あと、電気の復旧をじっと待っているだけではなく、発電機(自宅用)を引っ張り出して、自分たちだけではなく、近所と電気をシェアする人たちもいる。

 

あるいはソーシャルメディアなどでもシャワーや洗濯機をオファーする人や、電気のない友人を家に招くなど、助け合う情報が盛んに交換されている。

 

(その一方で信号機を作動するために使っていた発電機を盗む輩もいる。火事場の盗人は腹立たしいことこの上ない)

 

私は本日仕事に行ったのだが、5人いるメンバーのうち3人のうちは未だ電気がなく、そのうちの一人は、折角備えつけた太陽発電機もそれを起動するスイッチに電気を使うため役に立たねえ(乾いた笑い)と言いながら、誰も文句を言っていなかった。

 

ダーウィン人は我慢強いのである。

 

頑張れ、ダーウィン!

一日も早く電気が復旧しますように。


 

T

 

※このブログはAJANTの一会員が個人的な意見を書いているのものであり、必ずしもAJANTの団体としての意見を反映するものではありません。

 

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