私にとって(おそらく、多くの人にとって)、

フィンランド・デザインを好きになるきっかけとなったのは、

カイ・フランク(Kaj Franck)でした。

 

そんなこともあり、「カイ・フランク本」は、

すべて…とは言わないまでも、主要なものは集めてきました。

 

 

そんな中、日本語でカイ・フランク本が出版されたと聞いて、

(刊行は、2017年ですが…)

今さらながら、購入しました。

 

 

小西 亜希子・著、永禮 賢・写真

『カイフランクへの旅-“フィンランド・デザインの良心”の軌跡をめぐる』

グラフィック社、2017年。

 

書影から、勝手に小さくて(A5版くらい)薄い本というイメージだったのですが、

手に取ってビックリ。

大きくて(B5版くらい)、厚くて、

内容盛りだくさん、美しい写真たくさん、という、

間違いなく「買い」の良本でした。

 

何よりも印象的だったのが、

カイ・フランクと実際に交流のあった方々が語る「カイ・フランク」像と、

彼によって生み出された作品にまつわるストーリー。

カイ・フランクは、私の中では、もはや「伝説の人物」「偉人」的位置づけ。

彼と関わった人たちが語る、生き生きとしたカイ・フランク像は、

とても魅力的でした。

とりわけ、印象に残ったのは、好みではないデザインに非常に厳しかったという話。

こういう風にまとめると、あまり内容が正確に伝わっていないと思うので、

是非、書籍でご確認いただきたいのですが、

石本さんが語る、レストランやホテルでのエピソードに、

アーティスト・カイ・フランクを感じました。

 

カイ・フランクのコレクターでもあり、友人でもあった

タウノ・タルナさんの語るカイ・フランク作品&その誕生のストーリーも

とても興味深く、各アイテムへの愛情・愛着が一層強まりました。

カイ・フランクモノはマスプロ系しかもっていませんが、

マスプロ系、アート系双方に通底する哲学のようなものがあるなぁ…

と、改めて感じ入った次第です。

 

個人的に、ビックリしたのは、

ヘルシンキのアンティークショップ、

Lasikammari(ラシカンマリ)のオーナーさんが、

カイ・フランクと縁のある方だったということ。

(旦那さんが、ガラス・アーティスト)

だからこその、あのコレクション、あの商品知識なのだと、

今さらながら実感しました。

 

最近は、フィンランドのアーティストさんの関連本が

日本で出版されることも多くなってきて、

(訳書パターンが多いですが)

それだけでも嬉しいと思っていましたが、

日本独自の企画で、これだけ充実した本が出ている、

ということを、今さらながらに知り、感動しました!