一年前の二月、どうしようもないモヤモヤ期間を和らげてくれたのは、河本敏浩著「我が子の気持ちがわからない」(鉄人社)という本です。長年大手予備校の現代文の講師などされて、教育関連の講演を多数されている方です。たまたまアマゾンプライムの読み放題で同著者の「名ばかり大学生」(光文社)を読んで面白かったのでこの本に行き着きました。中学受験から大学受験の過程で起こり得るさまざまな親子関係の破綻と和解のケーススタディで、コミック「二月の勝者」をもっと暗く濃くした内容です。本になるくらいですから、え、どうなっちゃうの?とハラハラするエピソードが盛りだくさんです。読んでいるうちに、だんだんと気持ちは未来に向き、散らかった部屋を片付けてヘタレ長男が喜びそうな夕食メニューの買い物に行きたくなるような、親の役割とは何かを心底考えさせる本でした。