建築家 高松伸さんの本に 「 陽のかたち 」 があります。設計依頼や学会で世界あちこち訪れた際に、有名な街並みをジョギングすることで、肌で各地の文化を感じていました。 ( ジョギングは趣味で、必ずジョギングシューズを持って行ったようです )。その時に、描きためた、drawing がエッセイとともに載せられています。タッチが繊細で、絵がうまいなと思います。
この本から..........。
「 小さな医院の待合室の上に、ドームの設計をした時、突然月が落ちるように母が亡くなったが、ぼくは仕事を続け真っ白なドームを完成させた。そのドームにはいつも母がいる 」 と..........。そんな思いを知っていると、その医院の待合室は、とてもいつくしみ深い空間となります。
「 光太郎の夏 」 というエッセイでは、高松さんが13歳の時、この友人を海で失ってから、「 初めて失うことを知り、同時に一歩ごとに少年という自分を捨て続けた 」 とあります。
この本は随分と前に読んだけれど、この2点は覚えています。僕は、若い頃 「 人は、生きて時間を積み重ねていく間 様々なものを捨て続けて、最後はゼロになって、死ぬのかな? 」 と思ったことがあります。
生まれ変わることがあったら、僕は高松伸さんみたいな 建築家になりたいと思います。自分が生きた軌跡が、自分の思いの詰まった 「 美しい 」 建築物なんて、幸せな人生だと思います。
建築家 高松伸さんです。