谷口智彦氏(鴨川一也撮影)

 ドナルド・トランプ氏が迎える2度目の米大統領就任式が目前だ。内外報道には一様の傾向があって最初にトランプ氏を皮肉るかあざ笑うか、少なくともその態度を行間ににじませるかしないと書き出さず、話し出そうとしない。

 

再登板に「さあ、大変だ」

 識見を著しく欠く不適任者が、再び地上の最強権力を握る。さあ大変だ、と言わぬばかり。

 「トランプ大統領いいよね」などと言おうものなら、およそインテリ扱いされない風潮がある。

 今に始まった現象ではないし、故安倍晋三元首相にまつわる日本の報道も、まるでそっくりの偏向があった。いわばおなじみの光景であって、事実、安倍氏はこのことを話材とし、トランプ氏と「相身互い」を確かめ合ったほどだ。

 トランプ氏をけなしたがる同じ傾向は、新大統領が掲げる政策もろもろの評価に及ぶ。「二言目には関税を持ち出し貿易相手国を脅すなど、とんでもない。自由な貿易体制を壊そうとは、米国も堕(お)ちたものだ」といったふうに。

 トランプ氏はすましたインテリを嫌い、自らもアンチ知識人の姿勢を取りたがる。とはいえ、大統領になる人を知的能力に劣るとみなしたがるインテリやメディアの姿勢はいかにも傲岸不遜、公平を欠くと言うほかない。

 共和党には新大統領の力があまねく及び、同党は今や「トランプ党」と呼んでいいほどだという。

 すると全米を代表する上下両院共和党議員たちは揃(そろ)いも揃って、軽蔑すべき無能者にコロリとやられる愚者たちだとでもいうのだろうか。おそらく共和党の議員たちは個人的好悪の感情は脇に置き、トランプ氏が示す価値の尺度に共感している。ゆえに同氏を支持したのだろう。

 トランプ氏をあらかじめ侮蔑してかかるようだと、氏を支える米国人の姿が見えない。何より、トランプ氏という人物の身になって考えることができなくなる。

本気度が違うトランプ氏

 ところで米国や世界の姿が大統領にどう見えているかを想像してみる態度こそは、日本や欧州の指導者に不可欠だ。彼らは評論家ではない。国益をかけて、米国とつきあう当事者だからである。

 しかも、今度のトランプ氏は本気度が違う。本人自身にとってすら意外だったのが1度目の当選だったとすると、周到に狙った策を見事に当て、凶弾が死の淵に追い込んだのすらはねのけ実力で手にしたのが今度の政権だ。新たに得た4年の任期を、無駄にすまいと誓っているだろう。それはあたかも神の恩寵(おんちょう)だからである。

 神様にもらった時間を大事に使うとして、その対象は何か。一にも二にも、「グレート」にはちっともなれなかった人たちだろう。物づくりの仕事にあぶれて株高の恩恵に浴さず、生への意欲を鎮痛剤中毒で失う一方、増え続ける移民に対し肩身の狭い思いをして生きている、そんな人々だ。

 違法薬剤と非合法移民の出元はカナダとメキシコであるとし、だからこの両国に、トランプ氏は高い関税を課すというのである。次のような三段論法だ。米国は、世界に類のない強く偉大な国でなければならない。それを阻むものは一に薬物、二に非合法移民。とすればその米国流入を野放しにするカナダとメキシコは、最も高い関税をくらって当然である。

 関税は、経済に悪影響を与えることがある。ビジネスマンをもって任じるトランプ氏が、そこらを知らないはずはない。この際、新大統領は米国をむしばむ根因との長くかかる闘いを、移ろう景気より重んじているとみておきたい。

日本と世界を益すため

 中国に高関税を課すことの可否も、大統領の目線で見て判断してはどうか。中国で供給力が需要を上回り米国がその逆である場合、中国産品を米国向けに売れなくする策は、中国の供給力を米国が取り返す効果を生む(元に戻らないくらい長く続ける必要はある)。

 それで米産業が活気づき、良質の雇用を作ると期待してのこと。中間層の押し上げを念じればこそで、カナダやメキシコに対する政策と根幹において同じである。

 米国に物を売って伸びた点、中国は日本の先例を後追いした。日本に似ていたのはそこまでで、中国は軍事力で米国を圧倒し、インド太平洋から米国を追い出そうとしている。米国の知財をしこたま盗み続けてもきた。ツケを払わせて当然とトランプ氏は思うだろうし、実は日本も同意できる点だ。

 貿易政策に関して新大統領の考えに近い専門家(ロバート・ライトハイザー氏)によると、日本に関しては総じて穏やかだ。それに日本は、米国に幾度も手荒い扱いをくらい、為替の大変動も何とかしのいできた。世界で誰よりトランプ関税への耐久力をもつのはあるいは日本なのだから、日本は米国と、いくらでも共同行動を取ればいい。受け身に構えて恐れをなす必要などさらさらない。

 米国がトランプ政策で「グレートアゲイン」になるなら、日本と世界を益す。それが、基本。揺るがせにすべきでないところだ。(たにぐち ともひこ)産経新聞社

 

トランプは米大統領に就任をしても、任期は4年である。それに、高齢でもあるから、トランプは無法者国家の野望を頓挫させるための抑止力拡大に邁進をすると考える。そのためには世界中の戦争を停止させ legacyを残すこと。

 

中国のWTOを無視したダンピング、企業への膨大な補助金を止めさせることだ。また、他国の技術も窃盗をすることも許すべきではない。トランプは世界平和の構築と自由貿易の公平なルールを守ることで大きな成果ということになる。その後は、ヴァンス副大統領 、マルコ・ルビオ国務長官に期待をしたい。

 

日本は、トランプに堂々と日本の立場を主張をすべきだと思う。中国の領土拡張、覇権主義、核の恫喝には日米の核共有、第一列島線にLRHWダークイーグル・極超音速核ミサイルの配備を要望をすベキである。わが国も防衛費はGDPの3%までは増やすべきである。そうすれば、中国の台湾侵攻はできなくなる。