再稼働に向けて準備が進む柏崎刈羽原発7号機

エネルギー基本計画の改訂作業が始まっている。だいたい3年ごとに日本の中長期のエネルギー政策の方針を決めるもので、前回は2021年だった。経済産業省が有識者会議で方針を決めていく。当たり前だが、経済活動に欠かせないのはエネルギーだ。だが、このエネルギーの活用について日本の政治やマスコミは深刻な問題を抱えている。例えば、円安によって高い石油や天然ガスを海外から買わなければいけない、この「悪い円安」をどうにかすべきだ、という話が連日のようにワイドショーやニュース番組で流されている。

 

だが石油や天然ガスの産出国での輸出価格が高かったのだ。円安が高いエネルギーの主犯ではない。しかも高い価格の石油や天然ガスに依存してしまうのは、原発の再稼働が遅れているからだ。この点を岸田文雄政権も、マスコミの多くも触れたがらない。

柏崎刈羽原発7号機の再稼働も国民的な問題であるが、岸田政権は地元に丸投げのまま、リーダーシップを発揮する気はないようだ。「悪い円安」を日本銀行が利上げで修正したとしたら、間違いなく日本経済には大ダメージになる。むしろ原発再稼働を進めることが望ましい。

 

そもそも現在のエネルギー基本計画では、電源構成に原発の占める割合は20~22%を目標にしている。だが現時点では、5・5%程度で低迷したままだ。その代わりに、再生可能エネルギーの活用だけはどんどん進行している。しかも再エネ賦課金という、事実上の「増税」が進行し、既得権者たちと行政との不透明な関係を清算しないままである。

今回のエネルギー基本計画の改訂も、二酸化炭素(CO2)の削減が強く打ち出される。だが、日本の経済を支える産業は、エネルギー多消費型である。化学、鉄・非鉄、窯業土石、紙パルプ製造業の合計は、155万人もの雇用者を抱え、また賃金も高い。この日本を支える産業に対して、CO2の極端な削減によるコスト増のツケを負わせることになる(野村浩二慶大教授らの提言を参考)。

 

また、専門家によれば再エネ賦課金は不要だという。再エネは国際的な競争力を確保していて、日本のような政府の補助金政策は国民にムダな負担を背負わせている。だが、再エネ賦課金は引き上げられ、家計の負担は増す。そのおカネは回り回って中国の太陽光パネルなどに流れ込んでいる。

内閣府の再エネタスクフォースをめぐる問題も未解決だ。前回は、法的根拠がないにもかかわらず、エネルギー基本計画に関与していた。また再エネの利害関係者が委員にいたことも問題になろう。この点をはっきりしないまま、再エネありきで日本の経済社会を不安定化させる計画を立てるとしたらいただけない。(上武大学教授・田中秀臣)産経新聞

 

岸田総理は、先頭に立って、原発の再稼働や新増設に動いていない。それどころか、再エネ賦課金での国民負担を増やしている。それに、日本の高効率な石炭火力発電停止。

 

「原子力発電所の再稼働」「革新炉の研究開発」、「そして新増設」である。原子力発電所の燃料費はわずかであり、1キロワットアワーあたりで1・7円にすぎない。いま、天然ガス火力発電は1キロワットアワーあたりの燃料費は16円程度にまで高騰。原子力の再稼働で、電力コストを年間約2兆円下げるのだ。