ブレア氏は「非常に高度なセキュリティーを備えている」とNTTを評価した=東京都千代田区(酒井真大撮影)

ブレア元米国家情報長官は産経新聞とのオンラインインタビューで、日本のサイバー対策は企業や人材の問題ではなく、防衛に必要な対策を講じることができない「構造的な問題」を抱えていると指摘した。政府のサイバー能力が市民に向けられることを懸念する世論への配慮で法整備が進まないことに憂慮を示し、中国や北朝鮮などの「本当の脅威」を認識して対処する必要があると訴えた。

ブレア氏は日本の通信企業のNTTやNTTドコモは「非常に高度なセキュリティーを備えている」と評価。サイバーセキュリティーの専門家も擁し、米大手企業などと同等のレベルにあるとの認識を示した上で、日本の課題は「法律でネットワーク内での対応が制限されていることだ」と語気を強めた。米国では実施できる相手のサーバーに侵入して情報収集や無害化を図る「能動的サイバー防御」が日本では法的制約でできないことに触れ、英米豪など「メジャーリーグのチームが持っている道具を日本は持っていない」とした。

 

オンラインで産経新聞のインタビューに応じるブレア元米国家情報長官=14日

 

オンラインで産経新聞のインタビューに応じるブレア元米国家情報長官=14日

産経新聞社

 

高市経済安全保障相は重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」で自身のXに能動的サイバー防御は平時から情報システムを監視して攻撃の予兆を掴むべきと。

 

そのためには、憲法が定める「通信の秘密」との兼ね合いが課題と。高市氏は「通信の秘密と公共の福祉との関係を明確にし、通信の秘密を規定する電気通信事業法を改正するべきだと指摘した。「能動的サイバー防御」は相手側サーバーに侵入して無力化する対応を想定されているのだ。それを達成すべき。