愛染恭介のやぶからぼう日記 -83ページ目

大久保

いよいよルミネエストからの嫌がらせ度合いが増してきました。

まあ詳細は「LOVE! BERG!」や「BERGへようこそ!」をご覧下さい。

そこで書かれていないこともあるのですがいずれ。


街のあちらこちらで開発ラッシュですが、

近くでは大久保の「税務署通り」。ここでのこの5,6年の激変ぶりは凄まじいものです。

この通り沿いには、やはり世話になっているライブハウス「クラブドクター」があり、

ここも一時立ち退き話があったようですが、なんとか存続の運びとなったようです(よかった!)。

しかし税務署通り沿いには、かつて個人店が軒を並べ(その並びにドクターもある)、その通り先が二手に別れ

古い住宅が密集し、その景観は「こ、ここは新宿か?」と思わせるほど映画セットのように古く(ノスタルジック?)、よく仕事帰りに夜の散策を楽しんだものでした。

が、道路拡張に従い、これら個人店、住宅街が一掃、その住宅街の真ん中に立っていたお地蔵さんは

道路の真ん中に移動させられ今や車と車に挟まれてなんとも痛々しいかぎり。

だだっ広くなった税務署通りや駐車場ばかりが目立つ閑散とした風景の中、ドクターと両脇のアスカホテル、

居酒屋「たんたん亭」だけが離れ孤島のように残っている。

先日、この近辺に用事があったので「たんたん亭」を覗いてみると、大繁盛!!

そりゃそうだ、この寒々しい風景の中、たんたん亭の軒先から燻される焼鳥の煙と赤提灯からは

人間の気配がちゃんとする。かつてはクラブドクターのライブはねたあんちゃん達の打ち上げ場所として

ドクター御用達居酒屋の感が強かったが、この間は仕事帰りのOLをはじめとする女性客が多くてびっくり。

がんばれ!たんたん亭!クラブドクター!


さて同じく大久保は駅を挟んで反対側現コリアタウン周辺での、15~6年前の風景。

写真家迫川尚子が撮ったバンド「SOSO」in大久保でごんす。いやあ懐かしい。この時の

ドラマー、村口のおっさんがベルクと東金屋を結びつけたんだよね。↓

http://zoome.jp/whiteproduction/diary/36/


タイオン

二つの展覧会に行ってきた。

一つは「松本秋則展」。展覧会というにはイメージが違う、この方は作家と観客と空間が揃って作品になるという

「ライブ」と言ったほうが分り易いかも。8畳ぐらいの狭いコンクリート打ち放しの部屋に、天井から無数のプロペラ型の羽がぶら下がっている。しかもほとんどが動いていない。これだけなので最初肩透かしというか、面食らったのだが、松本さん本人が「そこに座ってゆっくり見て下さい」と、作品群の下に用意された椅子を勧めるので遠慮しつつも座ってみる。すると、しばらくして自分の真上の羽がくるくる回りだして楽器が鳴り出した。

なんの小細工もない。電気が通っているわけでもなく、エアコンで風が送られているわけでもない。

その種あかしは「人の体温が上昇して対流が起きる。その力で羽根が回るんです」。よく見ると羽の向こう側には、円形の竹の木琴やら鉄筋やら、オルゴールのようなものやら、それぞれの作品・羽によって違う音が奏でられるようになっている。それも、鳴らす原動力は見ているものの体温だ。最初、殺風景と思われた、その会場がその時点からおもちゃ箱の中に入ったようなワクワク感に変った。最初タイトルの意味が分らなかった展示名「タイオン演奏会」。六本木という近寄りたくないギャラリーに足を運んだ甲斐があったというものだ。いや、会期が今日までだったから種あかししちゃったけどね・・・。


もう一つは「ピカソとクレーの生きた時代」。

ある美術館のコレクションがやって来たので、23人の作家の作品群、気持ちが

そがれることもあって企画としてはどうなのかと思うけど、やはりクレーやカンディンスキー、エルンスト

といった大物たちの絵は見応えがあった。個人的に面白かったのは

ピカソとクレーのタイオンの違い。ピカソは分りやすく云えば豪放磊落、大きなキャンバスに高体温な

血を塗りこめる。逆にクレーは小さな画用紙に低体温な線と色を染みこませる。

タイオンの違いはあれど、だからと云ってクレーがピカソのパワーに負けているという話ではなく、

その見ているものを開放感に満ちさせる魔力は、すごいロックンロールに出逢ったようなもので、

クレーはナチスから「退廃芸術」として迫害を受けたのも、その影響力もうなづける。

あのクレーの「脱力」ぶりは、あらゆる雑草野草も庭に植え込んでしまいそう。

ナチスの美意識には、あってはならないことだろうから。



でけた。

ベルク通信12月号に「皮肉にも(ルミネエスト内)この界隈で行列が出来るのは、

ベルクとトイレぐらい」と書いた矢先、やはりお客様の思いの先を読むルミネ、

しっかり答えを出してくれました。特に土日の女性用トイレは列が出来て、

利用客に対しての絶対個室数の数の驚くほどの少なさを物語っていました。

その答えが・・・地下2階(ベルクの下)トイレの廃止決定!その理由が「駅利用者が入ってきてしまうから」。

もうすばらしいの一言。そう、ルミネ利用者はおしっこもうんこもしないんですから。さあ皆でルミネに賞賛を!


さあて、そんなうさを晴らすべく(個人的にね!)出来ちゃったのよ!

大西英雄との共同制作CD「岩を削るのは雨」。

今回は愛染のソロ、ではなくあくまでも「愛染恭介と大西英雄」のCDです。

思えば、そもそもCDなんて全く興味なかったのよ。1枚目のきっかけは現「バイユーゲイト」のマスター

有さんに言われた「なんか音源くださいよ」だった。それでラジカセで一発録りしたら「なめとんのか!」。

今でこそブルースの大御所達がライブするハコ「バイユー」だが、有さんは俺のような無名の

アーティストをとても親身にバックアップしてくれる方で、その熱意に動かされ重い腰を上げて

作ったのが「海に沈んだ巨人の男」。でもこのCDをきっかけにライブに来て頂く奇特いや貴重な

お客さんがポツリポツリと増えてくれました。そんな中CDにない「あの曲が欲しい」・・・とまたまた

奇特いや貴重な声を頂き、2枚目の運びとなりました。

もちろん、二枚目もジャケはイラストでいくつもりだったんだけどね。

デザイナーのモリヤン(最強グルーブバンド「テグオン」のベーシストにしてデザイナー)から

「インディーズの人はすぐイラストを使いたがる。でも知らなければ大概の人は手にも取らない」

「恭介さんの変なギターとヒデオのドラム、というパフォーマンス写真があればこいつら

一体どんな音出してんだ?と手にしてくれるはず」というとてもシンプルで説得力のある意見に

押され、今回はふんばって気張ってみた写真ジャケです!

しかも無理を承知で御願いした写真家は、「DEEP SOUTH」沖縄の写真集等で名を馳せる

野村恵子。・・・ほんとすみません、てな贅沢な人選。さて問題の中身は?

友人いしはらとしひろ氏が、決して高価な機材ではない、低予算機材陣で臨んだのに

ハイクオリティーで作った氏のCDに勇気づけられ参考にさせて頂きつつ、

臨んだ低クオリティーな録音機材陣。でもね、音は前回より断然いいよ!

とにかくヒデオのドラムやパーカスをマイク1本でとったのは自慢できるね。

何本もマイクを立てたものに決してひけをとらないと思うよ!

勢いだけは、しっかり掴みました。しょぼうたも、が、がんばった?

とても生意気な言い方なんですが、ヒデオと曲選びから完成に至るまで、

いろんな方と関わって、うまくことが運び、なにか必然的なタイミングとしか思えないようなことが

たくさんありました。この場を借りて、改めて作りに関わってくれた方、いつも聞いてくれる方、

心の拠り所とする友人たちに感謝です。