「レッジョエミリアとお受験」シリーズのおまけで、
「お受験」の話ついでに、本のご紹介。
文京区のお受験殺人事件を題材にした
角田光代さんの「森に眠る魚」。
すんごい、おもしろいです。眠れません(笑)。
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- 森に眠る魚/角田 光代
- ¥1,575
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それぞれに悩みを抱えていて、やっと巡り会えたと
思った仲良しグループで、今度は「お受験」をきっかけに
疑心暗鬼が殺意に変わっていく、リアルすぎてコワイ話です。
現代社会でママたちがどれだけ追いつめられているか、
天才的なストーリーテリング力で一気に読ませてくれます。
「対岸の彼女」で直木賞をとったころは、
あまりピンと来なかったけど、「三面記事小説」あたりから
すごい完成度の作品が安定的に供給されてますねえ。
愛人の女が、男の子供を誘拐して育ててしまう
「八日目の蝉」も、素晴らしかったです。
- 八日目の蝉/角田 光代
- ¥1,680
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こちらも息もつかせぬサスペンス(逃亡劇)ですが、
涙なくして読めません。
泣いてすっきり、みたいな陳腐な涙ではありません。
心の奥底が波にさらわれるような衝撃です。
女が逮捕されるときに叫ぶ台詞!
これが、母親ってもんだよなあと(涙)。
愚かで、悲しくて、愛おしいものです、母の愛。
この人は、どうして子供いないのに、
こんなにわかるんだろう、と不思議になります。
それが、作家の天分というものか。
ついでに、わたしは私立のエスカレーター校に通っていた
と書きましたが、それはもう、熱帯魚が泳ぐ楽園みたいな
ところでした。
でも、意地悪な目で見れば、こういう構造が見えてきます。
桐野夏生「グロテスク」。
↓
- グロテスク/桐野 夏生
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女が女を差別するということを、そこまで書くか、というくらい
グロテスクな情念に満ちた力作。
「私ね、この世の差別のすべてを書いてやろうと思ったんですね。
些細な、差別と思っていないような差別。
お金も美醜も、家柄も地域も、勉強できるできないも、
全部の小さな差別をいれていこうと思ったんですよ。
エリートになればなるほど、たぶんものすごい差別が
いろいろたくさんあると思うんです。
競争が激しい。それが女の子の場合、もっと複雑になるというのかな。
厳しいんじゃないかと思うんですよ、女の子は。」
(「本の話」7月号 『グロテスク』著者インタビューより)
ここに出てくる、エスカレーター校の階級社会の話は、
うちの学校のことかと思いました(笑)。
こちらは「東電OL殺人事件」が題材になっています。
「OUT」や「柔らかな頬」も、その前のミロシリーズも大好きですが、
これが一番、スゴイ本だと思ってます。ノワールです。
仕事中にうっかり読み始めてしまい、あまりに面白くて、
家に帰ってしまい、会社から鳴り続ける電話を適当にいなしながら、
一日で読み切ってしまった本です。
(そんなことをしたのは、これが最初で最後です。あしからず(笑))