29・5・5

 国の切角の政策が裏返しに利用されそうになっていることはないか。例えば、再就職の助成事業である。

 事業縮小や再編で離職を余儀なくされた人々の再就職を支援する国の助成金を人材会社が企業にリストラ方法をアドヴァイスし、助成金が使われる退職者の支援で儲けているなどしているためである。労働者を守るための制度が、リストラを誘発しがねない仕組みになっているところが目立つようになって来たのである。

 企業が雇用を維持できないような状況になった場合、労働者を速やかに再就職させるため、再就職支援を人材会社などに委託すると労働者移動支援助成金が企業に支給される。委託時に一〇〇万円、六ヶ月(四五才以上は九ヶ月)以内に再就職が実現すれば委託費用の一部が支払われる。上限は一人につき六〇万円となっている。

 人材会社は人員削減の手法を提案、退職者の支援は同じ人材会社が引き受け、助成金は最終的には人材会社に入る仕組みとなっている。この仕組みだと、人材会社の利益のために必要以上のリストラが誘発されかねない。

 これでは、まるで人材会社に儲けさせるために必要以上のリストラを誘発することになりかねない。厚労省もそんなつもりではなかったと思うが、現に、退職勧奨をまるで後押しするようなところがあって、問題となっている。

 厚生省もこの現実について当然問題なしとはしないとして、防止策を検討しているというが、早急に対策を実現させて貰いたい。

 政府もそんな積りではなかったことと思うが、いずれにしても放置してよい問題ではないとこは明らかである。