28・8・25
政府機関の一部を地方へ移転する案が人口減少対策として採り上げることになっているが、私は、之には俄かに賛成し難いと思うし、否むしろ反対である。
首都に政府機関が集中するのは当たり前のことで、その一部を分離して、どういう効果があるのだろうか。聞けば中央省庁は政府機関の地方移転に激しく抵抗しているという。
当たり前である。
首都に集中しているのは、自然であって、国会・各省庁などとの連繋その他あらゆる面からして便宜あり、各省庁の業務に効果的であるからである。
例えば、文化省の京都移転についても、たしかにそもそも文化財が関西を中心に存在しているから、一応尤もな点もあるように見えるが、文化庁は文化財の保護管理のみを目的とする機関ではない。国・地方の文化・芸術その他文化に関するあらゆる行政は勿論、他の諸官庁との連絡・調整その他の業務は他の諸官庁が首都東京にある限り、文化庁が東京にあることが常識的にも最も妥当に行われるのである。
今、文化庁ないしその一部を京都に移転するとどんなメリットがあるのだろうか、移転に伴ない多額の経費が必要となる他に年々その行政を遂行するための経費は高くなるだけである。電話・その他連絡などは昔と違って便利になっただろうが、それは文化庁が東京におっても同じことである。
行政機関の所在地が集中することは国民一般にとって便利なことである。機関の地方分散で一般国民が不便になるなら、それこそ何のための地方移転なのだろうか。
極端に言えば、政府機関の移転を人口対策などを目的として実施したら、世界の物笑いになるだけのことではないか、と危懼する。