28・8・2

 京大の「文学部国史学科」で学び、岡山大学など関西の諸大学の教授をした直木君は旧制一高の同期生であって、ふとしたことから彼の何冊かの著書を頂載した。クラスは違っていたし、又学校の授業を大いにサボっていた私とは在学中殆んど相まじわることはなかった。

 その彼の著作の一冊を読んで、学者とはこういう人を指すのかな、と思う程真面目な、又行き屆いた文章に感心た。又、テーマのせいもあるのか大へん読み易かった。

 同年代に生き、戦争中それぞれの苦しい生活を記したこの一冊は一気に読んだ。 

 あの頃の世の中のことをいろいろと思い出し、又同じような悩みを味わったことを改めて知った。