28・3・12

 表題につられて二十五年も前に米子で買った本である。

 著者はちょっとひねた江戸っ子ととでも言うべき人物であると思うが、江戸・東京の諸事の故事・来歴について、淡々と記述していて、大へん面白くもあり、参考にもなった。

 東京に長いこと住みながら行動範囲のごく限られている私は、正直言って東京の町について、いろいろなことを知っているようで知っていない。 

 議員も辞して、東京にいることが多くなった私は、そのうち東京の、それも江戸以来の名所をこの目で見てみたいとかねがね思っていたが、いざとなるとなかなか果たせないものである。

 その面の知識をこの本がいくらかでも埋めてくれたことについて感謝している。

 この上は、自分がぢかに現場をみることであるが、今度は時間の外、体力がなかなかついて来ない。一度気まゝに江戸以来の東京の街を散策したいものだと思っているが、果たせるか。