28・2・28
文化庁を京都へ全面移転するという構想が具体化しそうになっているので、ハッキリと反対を表明しておきたい。
私も若い頃京都に勤務したこともあり、文化財にも人並みの興味は持っているし、文化財が京都、奈良を中心に関西に多く集中されていることも承知している。
しかし、文化庁の任務は文化財の保存だけではないことは無論であるし、国際的な使命などをも当然考えなければならない。何といっても首都東京に国会を中心として中央諸官衛が存在し、相互に深い関連を持っていることなどから考えても、文化庁の京都移転は、部外の多くの人々にとって不便となるもの以外の何物でもないことなどを思うと、文化庁の京都移転は反対せざるをえない。
昔と違って、交通、通信手段が飛躍的に発達して来ている今日であるだけに、移転に伴なう障碍こそ大きく考えられてならない。
消費者庁などの地方移転についても同様であって、目先を変えてみる以外何等のメリットも考えられないではないか。
田園正に荒れんとす、という心配は、鳥取を地盤として三十年以上も活動して来た私にもよくわかるが、田園は田園としてのよさを充分完揮しうる方途を真剣に考える方が先決問題ではなかろうか。
昔から大厦の崩れるはよく一本の支えなところに非ずと言われるが、大厦の生きる方途は活眼を開いて、既成概念を離れて考えるべきである。それには地方行政の改革も含め、地方の旧来の産業経済の在り方の再検討も思い切って進めるべきではないか。
では、具体的にどうしろ、というのか、との質問に対しては、いずれ私案を申し上げる機会を得たい、と思っている。