27・12・14

 消費税を八%から一〇%に引き上げるに際して、主として公明党から少なくとも酒類を除く食品全般に外食も含めて八%に据え置くべしという意見が出され、これを回って自民党内に様々な意見が連日マスコミに報じられていた。

 やっと一二日に合意に達する模様であるが、一言私の意見を述べて置きたい。

 私は、そもそも軽減税率を設けることに反対であった。先ず税務署も含めて税務関係者の手間が大へん増えることが予想されずのみならず、原場で八にするか一〇にするか、で簡単に片ずかない議論が発生する。昭和二十四年頃取引高税をGHQの指示で実施した時も、私は署長をしていて苦労をしたが、考えてみれば、初めから課税に当って、議論しなければならないようなあいまいな線引きを設けないようにしなければならない、としみじみと思った。

 消費税率を引き上げることに異論があるわけではない。消費税をかける、かけない、かけるとして、何%か、とくに税率に差を設ける場合は、対象の区分を回って無駄なやりとりをしなければならなくなることが問題なのである。

 私は、消費税をとるなら一率が一番いいと思っている。消費税を上げることによって生活に困る家庭に対しては、現在でも行われている社会保障の考え方で税で給付金を支給したらよい。

 様々な案について、多分行政の面でも激しい議論を繰り返したと思う。例えば外食を軽減税率の対象から外すことにしたら、外食の定義を回って意見が分かれることに必死である。食堂で注文をしたが、気が変ってもって帰ることにしたらどうなるか。急な電話が入って、そうなった場合もあると思うが、二%は後で又支払うのか。家で食べるつもりで買ったが、腹がすいていたので、そこで食べることにしたら、支払った代金に二%分を追加するのか、加工品か否か、というこれまた面倒な区分をしては加工品も除外されないことになるからいいとして、まァまだまだ議論が分かれるものが出てくることは目に見えている。酒と最近多く見かけるアルコールの極めて少ないドリンク製品は酒か。外食の場合も伝票が二枚となる。

 私は、あちこちで無駄な労力を払わないですむように、軽減税率を設けるのを止めて、消費税率を一〇から九・五かそこらに一率に下げればいいのではないか、主張したことがある。公明党は、それではダメで、一般と違う軽減税率を設けというに違いない。

 いい税は、下らない議論を喚起しない税である。もうおそいかも知れないが、外食の定義も実施上、議論のないように今から整理して貰いたい。