十一月の二十四日、財務省の諮問機関「財政制度等審議会」が取りまとめた意見書の中に「公立小中学校の教職員(教員や事務職員)の定数について二四年度までに三万七千人削減することをベースに考えるべきだと提案した。

 少子化の影響で二四年度までに児童生徒数が約百万人減る見込みなので、それと連動する形で教職員数を大きく減らすことに財務省の狙いがあるようである。

 この生徒児童数の減少の見込みについて両省に大きな意見の差があるわけではなく、文科相はいじめや不登校などに対応する必要があるとして五千人減にとどめたいとしている。

 戦後GHQの指令で六・三制の義務教育制度に移行して以来、教職員の定数については何回となく議論の対象となって来た。

 これは、単に官公庁の日教組対策からと考えるべきではないと思う。私は、かつて文部予算担当の主査として、六・三制の教育制度について深くたずさわって来たが、定数問題も常に大きな論議の対象であった。

 戦前は小学校一クラス五〇人の編成で理科や音楽の一部は別として一クラス一人の教員が担当するのが普通であったが、それが次第に増えて来た。

 増えて必ずしも、教員一人当たりの負担が減ったわけではない、それ相応の理由はあった。一つは教科専任の職員の増加と、も一つ重要な要素は各種の調査、報告という教務以外の事務の急減な増加であり、各種の研修の増加などであると思う。いずれにしても組合専従の職員は教職員給与費国庫負担の制度を作る際、対象から除外することにしたが、それでも教員が授業に当る時間は減って来たことが、教員増の一つの大きな原因となっていた。

 今回の財務省の提案にも、単に児童生徒数の減少に伴ない教職員数を減少させること以外の目的をもっていないと思っている。

 義務教育は教育のスタートであり、基礎である。この教育が立派に行われることは国の将来の運命にも関わることなので真剣に検討しなければならない、と思っている。