27・11・19

 耕作放棄地の課税を一・八倍にする、という案が農水・総務の両省で検討されている、という記事が、一一月十一日の日経のトップ記事として掲載されていた。私は、反対である。

 農地の税金が安いために放棄地となっていることは承知しているし、その対策として課税を強化することも意味がないとは言えない。しかし、そんな弥縫的な対策で耕作放棄地がなくなるだろうか。

 かつて、米作の制限を目的として、農地の休耕や転用を奬勵するために補助金を出すことにしたことがある(昭和三十年代中頃)。休耕ははっきりしているが、ほんの形式的に大豆、なたねなどの種をパラパラと撒いて田からの転換と称して補助金を受けたことがあった。パラ転という言葉が使われた。

 耕作地の課税強化をすればきっとそんなことが再び起きて、実がない論争を繰り返す恐れが大である。

 何故、思い切って農地の貸借、売買の自由化を認めないのか。現在でも農地の転用には農地委員会の承認などのハードルがあるし、又、今でも株式会社の農地所有を認めていないではないか、それを認める方が先決問題である。

 自作農維持創設のために先祖伝来の田畑をタダ同然の値で売らされた農家の怨みは、私等一族も身にしみて承知している。

 自作農維持創設はそれなりに歴史的な役割は充分に果した。といって、そのいわばお上が召し上げた田畑を元の所有者に戻すわけにはいかない。

 もうこの辺で恩讐の彼方へ超えて行く覚悟で、農業の近代化を思い切って進め、TPPの世界情勢にも対応しうるような体制に切り換える必要があるのではなかろうか。