27・6・24
国立競技場はオリンピックの主会場として建て替えることになり、もう旧施設は全部解体になったのではなかろうか。
あの施設には、私もいろいろ思い出がある。昭和三十年文部予算担当の主計官であった頃昭和三十三年第三回アジア大会の開催が決定したのである。
スポーツ行政は文部省の担当であった。先ず主競技場の建設に取りかかることになった。
昔の資料をめくってみると、神宮外苑競技場跡に国立競技場を建設することとなり、総工費一、三六〇、七六八千円と見積られ、三十二年度予算には一、二七六、七六八千円を計上した、となっている。
ところで、競技場の施設は完成したもののその利用申込みがない。陸上競技でそのような施設全体を使うようなイベントがなかなか、ないという事情があったと思う。
それを耳にした私は、ゴルフの打ち放しを料金をとってしたらどうか、と提案した。丁度手頃な大きさである。
ともかく、いろいろなイベント、歌謡ショーなども含めてレジャーの催物の会場として出来るだけ利用出来るようにすることを薦めた、文部省はこの施設や選手村などを本省直轄の官の組織の一部に含めて本省青年局の下につける考であったが。それには私は反対で、特殊法人組織にして、広く、例えば美空ひばりのショーにでも利用しうるようにしておいた方がよいと主張し、結局そのようになったのである。
今度は、入選した建設案に基づいて、思い切った形の競技場が建設されることになっているが、費用と工期の点からか、屋根は後で取り付けることにし、又膨れ上った費用の一部を都に負担して貰う案を文科省が出して、東京都が抵抗、話合いに結着がついていないようである。
門外漢の私が物を言うことは控えたいと思うが、オリンピックが過ぎて屋根をつけるのも意味はないし、オリンピックのためだけに二五〇〇億円も使うのも何だか勿体ないような気がするし、困ったもんだと思う。
今からではムリかもしれないが、思い切って設計をやり直せたら、それが一番いいのではないか。費用の一部を東京都に押しつけるのは、みっともないから止めた方がいい。五〇〇億円ぐらい出せない国でもあるまいに、と思うが如何。