27・5・29
五月十三日の毎日、朝刊の記事の見出しである。
12日に衆議院本会議で審議入りした労働者派遣法改正案は、同じ職場で派遣労働者を使える期間制限(最長3年)を事実上、徹廃するのが柱だ。安倍政権の成長戦略の一環で、企業が派遣労働者を使いやくすなるため、経済界は評価している。しかし、労働者側や野党は「これまで以上に正社員になりにくくなる」などと批判を強め、「3度目の廃案」に追い込みたい考えだ。
一方、経済界は改正案を歓迎している。経団連の榊原定征会長は11日の定例記者会見で「国際競争力を確保するためにも、労働法制は国際標準に近い形、イノベーション(技術革新)を促進できるような形、しかも労働者にとってプラスになる形で改善をずっと主張している」と述べ、改正案成立に期待感を示した。
経済界は日本の労働法制は国際的にみても厳しすぎるとの立場だ。その一つが正社員を簡単にクビにはできない解雇規制だ。派遣なら必要な時に雇い、契約を更新しなければ人員削減できる。2015年の経団連経営労働政策委員報告でも「有用な労働者需給調整機能を果たしている」と評価しており、期間制限がなくなれば、より使いやすくなる。
労働者側の主張には、派遣労働者のキャリアアップを図る対策などが盛り込まれたことを踏まえ、「トータルでは労働者にとってプラス」(榊原会長)と反論する。
いささか長い引用で相済まないが、日本の労働者規制がいささかきつすぎることは、まことに小規模ながら人を雇用して仕事をいくつかしている身にとっても痛感することである。
労資の力角力を決めたらいい、なとという不埓なことは言わないが、さなきだに景気の回復とともに労働市場においても売り手が強くなれば、ある程度労働官庁は出しやばらない方がよいのではないか、と思うが、いけないか。自然に委せる、ということは、そんなに悪いことではない、と思うが如何。