27・4・16
岩下尚史の著である。
新橋の花界を中心として花柳界の裏表を描くつもりであったろうし、それなりに成功しているが、はっきり言えば、期待したほどではないところもあった。それは、私どもも知らず知らずに長い間に知らされたこの世界のことが頭にあったからかも知れないと思った。
こういう花街で自らがよく遊んだ本人が書いたら、又、別のものができて来たかとも思うが、それは望べくして無理なのかも知れない。
冬の夜、寝ながらぽっぽっ読むには手頃な本かと思う。
なお、一言余計なことをつけ加えると何となく銀座ではまあ飲めても、新橋、赤坂では遊べなくなったような気がするし、又、行かなければ行かないで済むのがお遊びだと思う。